近年、軽SUVやコンパクトSUVの需要が高まるなか、トヨタ「ランドクルーザー」シリーズにコンパクトなモデルが加わることへの期待が高まっています。過去には「ミニランクル」を示唆する動きもあったようですが、一体どのようなクルマになるのでしょうか。
■コンパクトSUV人気のなかで期待される「ミニランクル」の存在
近年、スズキ「スペーシアギア」や三菱「デリカミニ」をはじめとする軽SUVや、日産「キックス」やホンダ「WR-V」といったコンパクトSUVが人気を博しています。
トヨタも「ヤリスクロス」「ライズ」「カローラクロス」などといったコンパクトなSUVを複数台ラインナップしていますが、そこに「ランドクルーザー」シリーズのよりコンパクトなモデル「ミニランクル」が加わる可能性が高まっています。
ランドクルーザーは、1951年に「BJ型」として誕生し、長年にわたりその高い信頼性と悪路走破性を誇ってきました。
世界中で愛されているこのシリーズは、最新技術を取り入れて進化を続けるステーションワゴン(300シリーズ)、高い耐久性と走破性を誇るヘビーデューティー(70シリーズ)、悪路走破性に加え扱いやすさと快適性を兼ね備えたライトデューティー(プラド/250シリーズ)の3つのラインアップで展開されています。
この強固な基盤の上に、よりコンパクトな新モデルが加わることで、新たな顧客層を取り込むことが期待されています。
そんななか、2021年12月のトヨタによる「バッテリーEV戦略に関する説明会」では、コンパクトでアウトドア志向のEVとして「コンパクトクルーザーEV」が初めて公開されました。
このモデルは、トヨタの四輪駆動車の伝統を受け継ぎつつ、都市部でのアウトドアアクティビティを楽しむ若者向けに設計されています。
フランスに拠点を置くED2チームがデザインを担当し、角張ったボディ形状や「FJクルーザー」を彷彿とさせるスタイリングが特徴です。
コの字型のヘッドライトやグリル中央に配されたTOYOTAロゴ、スキッドプレートなど、オフロード志向のデザインが目を引きます。
また、コンパクトクルーザーEVの内部はシンプルかつ機能的なデザインが採用されると予想されており、水平基調のインパネと大画面のディスプレイが特徴です。
ボディサイズは現時点では不明ですが、300シリーズや250シリーズよりも小型であることが推測されます。
くわえて2023年8月に開催された「ランドクルーザー250」と「ランドクルーザー70」の発表会では、ランドクルーザーシリーズの未来を示す映像が流れ、そのなかに従来のランドクルーザーとは異なる2台のシルエットが登場しています。
左側にはコンパクトなシルエットのSUVが、右側にはロングボディのラージSUVが映し出され、左側のモデルが「コンパクトクルーザーEV」に似ているとして注目を集めました。
これにより、新しいコンパクトなモデル、通称「ミニランクル」がシリーズに加わる可能性が現実味を帯びてきたのです。
さらに、2023年には「ランドホッパー」や「ランドスケープ」、「ランドクルーザーFJ」といった商標がトヨタによって出願されており、これらの名称のどれかが「ミニランクル」に使用される可能性があります。
実際に、2023年10月に開催された「TOYOTA JMS PROLOGUE」では、前輪と後輪が電動で動くランドホッパーが公開され、さらに「ジャパンモビリティショー2023」では、ラージSUVのシルエットが「ランドクルーザーSe」として披露されました。
これにより、新たなモデルの登場が期待されていますが、ランドスケープやランドクルーザーFJについては情報が途絶えており、今後の展開が注目されています。
もし「ミニランクル」が市販化となった暁には、本格的な悪路走破性能と高い信頼性を持ったコンパクトなクロスカントリーSUVの代表格であるスズキ「ジムニー」のライバルになる可能性が高く、新たな市場を開拓するという意味でも挑戦的なモデルとなるでしょう。