オープンカーの代表格としてマツダ「ロードスター」が挙げられますが、かつてマツダはロータリーエンジンを搭載した斬新なオープンカーを展示し話題となりました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■実車展示が話題となったロータリー搭載のオープンカーとは?
オープンカーのルーフを開けた時の開放感と、風を切って駆け抜けていく爽快感は、他のクルマでは味わえない魅力です。
オープンカーを代表するクルマの1つとして、マツダ「ロードスター」が挙げられますが、2023年7月にマツダはロードスター以外の斬新なオープンカーを展示し、ロータリーエンジンを搭載していることで話題となりました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
そのクルマとは「RX-8 オープンカー」です。
マツダがかつて製造・販売していたスポーツカー「RX-8」は、1978年にデビューした「RX-7」シリーズの後継機として、2003年に登場しました。
ロータリーエンジンを搭載したマツダ最後のスポーツカーとして、その独特のメカニズムとスタイルで広く愛されていました。
RX-7が2ドアクーペのデザインを長らく維持していたのに対し、RX-8では画期的な変更が加えられ、4ドアクーペという新しいボディ形状で登場。
なかでも観音開き式の「フリースタイルドア」が特徴的で、スポーツカーとしての流麗なラインを維持しつつ、後部座席へのアクセス性を確保しています。
心臓部には「RENESIS」と名付けられた自然吸気型ロータリーエンジンを搭載。
最高出力250馬力・最大トルク216Nmを発揮し、スポーツカーとしての爽快な加速と軽快な操作性を実現しました。
ロータリーエンジンは、従来のピストンエンジンとは異なる動作原理を持ち、コンパクトな設計と高回転での力強いパフォーマンスが魅力です。
しかし、燃費効率や環境規制により厳しい局面に立たされ、2012年にRX-8の生産が終了するとともに、市販車でのロータリーエンジンの物語も一旦幕を閉じました。
そんなRX-8ですが、市販モデルではカブリオレ仕様やオープンモデルは存在していません。
しかし、2023年7月に梅田スカイビル(大阪市北区)にあるショールーム「マツダブランドスペース大阪」に展示されたRX-8は、屋根が切り取られ、オープンカーとして生まれ変わったものでした。
このモデルはパレードカーとして製作されたスペシャルモデルで、市販モデルとは一線を画す特別仕様が施されています。
まず分かりやすいポイントとして、車体の強度を維持しつつ安全性を確保するために、ロールバーを設置。
また、パレード用として後部座席が通常よりも高く設計されており、パレード中に乗員がよく見えるよう工夫されているのも大きな特徴です。
さらに、後部座席のヘッドレストを覆うように形成されたトノカバーは、オープンカーならではの独特なデザイン要素を加え、クルマ全体に洗練された印象を与えています。
なおRX-8オープンカーは、市販されることのなかった幻のモデルですが、スポーツカーとしての新たな可能性や価値観を提案するクルマとして、マツダのチャレンジ精神が詰まった1台として語り継がれることでしょう。