年次改良ごとに特別仕様車をリリースするトヨタ「GR86」ですが、2023年には「AE86」の40周年を記念するモデルが限定販売されました。どのようなモデルだったのでしょうか。
■AE86が最新モデルで復活!? オマージュした限定車とは?
トヨタのスポーツカーとしてラインナップされる「GR86」は、初代モデルは「86(ハチロク)」という車名で、「AE86型カローラレビン/スプリンタートレノ」をルーツとしながら、トヨタとスバルの共同開発によって2012年に誕生しました。
スバルの水平対向エンジン(2リッター)とトヨタの直噴技術「D-4S」を融合させたFR(後輪駆動)のスポーツカーとして人気を獲得しています。
2021年に登場した2代目(現行モデル)はFRレイアウトを継承しながらエンジン排気量を2.4リッターに拡大して動力性能を大幅に向上させたほか、2023年の年次改良で運転支援システム「アイサイト」がMT車にも搭載されるなど、安全性も高めています(AT車はデビュー時に搭載済み)。
そんなGR86では、毎年のように特別仕様車が登場しています。なかでも2023年に限定販売された「RZ“40th Anniversary Limited”」(以下、40周年記念車)はとくに話題を集めています。
一体どのようなモデルなのでしょうか。
2023年は、前身であるAE86のデビューから40年の節目の年となり、当時のモデルを再現した特別仕様車が限定販売されました。
かつて「パンダトレノ」と呼ばれて愛されたAE86を現行モデルで再現。ストライプのサイドデカール、トランクスポイラー、ドアハンドルを黒で統一し、ボディカラーは「クリスタルホワイトパール」と「スパークレッド」の2色を設定することで、かつてのAE86を現代風にアレンジしています。
TOYOTA GAZOO Racingの担当者は、漫画「イニシャルD」に登場したAE86がパンダトレノとして有名となったことから「白×黒」を好む人が多い一方、それ以前の世代の人には「赤×黒」のモデルも人気だったことから、特別仕様車として2つの色を設定したそうです。
ボディサイドのブラックのストライプには「SINCE 1983 40TH」という文字が組み込まれているのですが、フォントはAE86で使用されていたのと同じもの。この文字はインテリアのドアパネルにも施されています。
この40周年記念車には、「AE86」や「トレノ」といった表記は入っていないのですが、AE86の想起させるカラーリングやフォントを盛り込み、同車の雰囲気を再現しました。
また、AE86の「GTアペックス」グレードをイメージした内装では、ブラック基調にレッドアクセントをあしらっています。
赤いステッチ入りのステアリングは、通常グレードで赤内装を選択したときに装着されるものと同じですが、ブラック内装で採用したのは40周年記念車のみ。
シートはサイド部やステッチを赤としパーフォレーションとアクセントはブラックとなっている点も40周年記念車だけの特別な仕立てです。
また、エアコンの操作スイッチやセンターコンソールのVSCのスイッチ、助手席前に横一文字で入るインストルメントパネルモールはキャストブラック塗装を採用。スポーティかつシックなインテリアを実現しました。
GR86 40周年記念車の価格(消費税込)はMT車が382万2000円、AT車が392万円。限定200が抽選販売されました。
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米国でも同様の限定モデルが2023年6月に登場しているのですが、こちらは「TRUENO Edition(トレノエディション)」として860台が販売されました。
日本の40周年記念車と異なる点は、ボンネットがブラック仕上げとなったほか、左右のドアに「TRUENO Edition」ロゴ付きのブラックのデカール、フロントバンパーやリアガーニッシュに「TRUENO Edition」のエンブレムが装着されることです。
加えて、「TRUENO」のロゴが入ったシフトノブや、限定モデルを示すステッカーなど、インテリアにもトレノに敬意を示したスペシャルなアイテムが盛り込まれました。