ダイハツは2007年の東京モーターショーで、タフ使えるカジュアルな軽トラック「MUD MASTER-C(マッドマスターC)」を公開していました。一体どのようなモデルなのでしょうか。
■本格的な悪路性能を追求 荷台は実に画期的
軽トラックは、主に農業などで支持される「仕事向け」のクルマでしたが、現在ではアウトドアレジャーなどが浸透したこともあり、「趣味の道具」として一般ユーザーからも支持されています。
しかし、ダイハツは今から15年も前に、アウトドアでタフに使えるカジュアルな軽トラックを披露していました。
それが、ダイハツが2007年10月開催の第40回「東京モーターショー」で参考出品した「MUD MASTER-C(マッドマスターC)」です。
マッドマスターCについて、当時ダイハツは「小ささと軽さが生み出す高い走破性に加えて、フレーム付ボディの圧倒的な耐久性と積載性をあわせ持つスモール&タフなトランスポーター」と説明しています。
このトランスポーター(運搬車)という言葉が示す通り、マッドマスターCはサイクルスポーツ界を代表する鈴木 雷太氏と共同企画。サイクリストがマウンテンバイクを収納してアウトドアへ出かけられる多彩な装備や機能を持っていました。
荷台は通常のトラックとは異なっており、キャブと連続し軽バンのような積載力を実現。公開されたモデルは、大型トラックのウイング車のように側面パネルが開いてマウンテンバイクを積載できるものとなっています。
この荷台は「アタッチメントボディ」として、マウンテンバイクのみならず、各種アタッチメントを組み合わせることでアウトドアスポーツから過酷地での仕事にも適応する、マルチなトラックとして提唱されています。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1600mm×全高1960mmと極めてコンパクト。一方で全幅のみ軽自動車規格(1480mm以下)を超えていることから、厳密には軽トラックではないものの「ほぼ軽トラック」と言えます。
エクステリアは非常にシンプルで機能性を重視したスクエアなボディを採用。前後ライトやフロントグリル、ドアハンドルなどは四角く、タフなイメージも与えています。
足回りは大径16インチオフロードタイヤを装備し、370mmもの最低地上高を実現。悪路走破性能を示す3アングル(アプローチ・ランプブレークオーバー・デパーチャー)は「余裕を確保」したといいます。
これに、フレームシャシと軽量なボディを組み合わせ、高い走破性を確保。マウンテンバイクのフィールドでも十分な機動力を持っています。
インテリアは、加飾を減らした非常にまとまりのあるインパネに、撥水素材のシートを組み合わせるなど、タフギア的な要素をもたせました。その一方で、当時まだ画期的だった大型ディスプレイを装備するなど、先進さも追求しています。
パワートレインは、660ccエンジンを搭載。ドライブシャフトとハブの接続部分にはギヤを組込んだ「ハブリダクションシステム」を採用し、高い踏破性・耐冠水性を実現。
非常に高い最低地上高とともに、渡河性能など本格四輪駆動車並みの信頼性も持っていました。
出力などの詳細は公表されておらず、組み合わされるミッションや駆動方式なども一切不明でしたがが、センターコンソールのシフトパターンから5速MTを採用していたと見られます。
そんなマッドマスターCですが、奇抜なデザインや機構を採用するコンセプトカーとしては完成度が高く、登場に期待が寄せられたものの、公開から現在に至るまで直接的な市販モデルは一切登場していません。
しかし、17年が経過した現在、キャンプなどのアウトドアレジャー定着に加え、地方への移住や田舎暮らしといった生活スタイルも一般化。大自然のなかで趣味を謳歌する人も増えるなかで市販されれば、ひょっとしたら人気モデルになるかもしれません。