トヨタは「北京国際モーターショー2024」にて、知能化・電動化・多様化を軸にモビリティカンパニーへの変革に向けた中国での取り組みを紹介するとともに、マルチパスウェイを通じたカーボンニュートラルの実現に向けてバッテリーEV(BEV)の新型車「bZ3C」ならびに「bZ3X」を世界初公開しました。
■トヨタ新型「bZ3C」、中国政府機関サイトより詳細判明
トヨタが2025年春までに中国で発売する予定の新型「bZ3C」の一部詳細が判明しました。
その詳細は中国政府機関のウェブサイトで明らかになっていますが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。
2021年にローンチされたトヨタのBEVサブブランド「bZシリーズ」は現在、グローバル向けSUV「bZ4X」と、中国向けセダン「bZ3」の2モデルを販売しています。
bZ3は2021年12月に発表されたコンセプトモデル「bZ SDN」の量産車で、中国の自動車メーカー「BYD」と共同で立ち上げた合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY(BTET)」が主体となって開発されました。
バッテリーにはBYD製リン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、それ以外の制御面や車体、パッケージングなどはトヨタが設計しています。
また、実際の生産と販売は第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が担当する形になります。
bZ SDNのほかにも、bZシリーズからはコンパクトSUV「bZ Compact SUV」、「bZ Small Crossover」、大型SUV「bZ Large SUV」といった3種類のコンセプトモデルが発表されました。
その後、2022年11月のロサンゼルスオートショー2022では「bZ Compact SUV Concept」、2023年4月の上海モーターショー2023では「bZ Sport Crossover Concept」「bZ FlexSpace Concept」。
そして2023年11月の広州モーターショー2023では「bZ Flex Cabin Concept」といった市販化予定のモデルを次々とお披露目しています。
そして2024年4月に開催された北京モーターショー2024では、bZシリーズの次なる量産モデルとなる「bZ3C」「bZ3X」が発表されました。
bZ3Cは「bZ Sport Crossover Concept」をベースに「一汽トヨタ」が、bZ3Xは「bZ FlexSpace Concept」をベースに広州汽車との「広汽トヨタ」が製造・販売を担当するモデルです。
実際の商品設計の段階から中国の消費者が求める要素を反映させるべく両会社が携わっており、bZ3Cでは流行に敏感な若年層をターゲットに、bZ3Xでは安全性を重視するファミリー層をターゲットに見据えた電気自動車(BEV)となります。
そんな中国向けの新しいBEVとなるbZ3Cですが、詳細なスペックが情報が明らかとなりました。
この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。
工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが中国国内で製造する新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。
公開された届出情報によると、bZ3Cは全長4780mm×全幅1866mm×全高1510mm、ホイールベース2880mmです。
日本でも販売されているトヨタのSUV「ハリアー」が全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm、ホイールベース2660mmなので、大体のサイズ感は近いと言えます。
bZ3Cはコンセプトモデル公開時、そのローでワイドなフォルムが話題を呼びました。
量産モデルでもコンセプトモデルほどではありませんが、クーペスタイルのシルエットはしっかりと受け継がれており、SUVながらもしっかりとスポーティーさを演出しています。
また、タイヤの外径は比較的大きいため、近くで見てもボディの厚ぼったい印象を感じさせないデザインとなっています。
実際に工信部の情報からは「225/60R18」「225/45R21」の2種類のホイール・タイヤサイズが用意されることが判明しています。
肝心の駆動用バッテリーは事前に発表されていた通り、BYDの車載バッテリー部門「フィンドリームズ」が製造を担当しています。
種類はリン酸鉄リチウムイオン電池と記載されていますが、これは昨今の中国製BEVで採用が進む、安価で安全性に優れると言われているタイプのバッテリーです。
また、駆動モーターも同じくフィンドリームズが製造するものを採用しており、出力は268hpと記載されています。
記載方法から察するにこれは二輪駆動モデルと推察できますが、果たして四輪駆動モデルも用意されるかは不明です。
同じく届けられている車体の写真からは装備の詳細も判明しています。
特筆すべきなのはフロントガラス上部に位置する、高度運転支援に用いるLiDARユニットです。
また、リアゲート上部や両側フロントフェンダーには高精細カメラも搭載されています。
これに加えて、車体色はショルダーラインより上をブラックに仕上げたツートンカラーも選択できると記載されています。
2024年4月にトヨタが発表した「bZ3C」「bZ3X」はどちらも2025年春までの発売を予定しています。
すでに一汽トヨタが販売しているbZ3に次ぐ中国専売BEVということで、中国内外で注目を浴びているモデルです。
中国市場では同じ車格でより安い価格で販売される中国メーカーのライバルがたくさん存在しており、消費者に対してどのように「トヨタ特有の良さ」をアピールしていくかが肝心と言えるでしょう。