首都圏から名古屋方面への「第2ルート」となる新東名高速は、着工から30年が経過しても、まだ全線開通には至っていません。未開通部は一体どうなっているのでしょうか。
■いよいよ「残り1区間」の現在
東名高速のサポート役として、首都圏から名古屋方面への「第2ルート」となるのが、新東名高速です。
静岡県内ではとっくに開通していますが、実はまだ、新東名としては全線開通には至っていません。
未開通部は一体どうなっているのでしょうか。
新東名の開始地点となるのは、圏央道と接続する「海老名南JCT」で、そこからしばらく開通済みです。
伊勢原JCTで東名と交差し、東名の北側を進みますが、そのまま静岡県内へ行けるわけではありません。実は、途中の新秦野ICで「ブツ切れ」になっているのです。
静岡県側では、2021年に新御殿場ICが開通し、そこから終点の豊田東JCT(愛知県)までずっとつながっています。
つまり、新東名の「未開通区間」は、新秦野IC~(県境)~新御殿場ICだけです。
しかし、ここがつながってくれないと、神奈川県内で新東名に乗る意味がほとんどありません。途中で高速を下ろされて、狭い国道246号で延々と新御殿場ICまで行かないといけないからです。
そのため現在、ほとんどのドライバーは、東名で静岡県内まで入り、御殿場JCTで新東名へ入っていきます。
神奈川県内の新東名の存在価値と言えば、東名の渋滞を避けて圏央道へ行くために「伊勢原~海老名南」をバイパスとして使うくらいと言えるかもしれません。
■で、「ブツ切れ区間」つながるのはいつ?
それでは、新東名のこの未開通区間はいつになったらつながるのでしょうか。もし繋がれば、海老名南JCTから愛知県までずっと「新東名だけ」を走って到達することができます。東名の「秦野中井IC付近」の大渋滞も、交通が分散して、かなりの混雑緩和が期待されます。
現時点で、新秦野~新御殿場の開通予定は「2027年度」です。
最初の計画では2020年度開通でしたが、難工事で2回の延期がありました。難工事になっている最大の原因は「高松トンネル」です。
高松トンネルは神奈川県松田町と山北町にまたがり、延長は東京方面(上り線)が2851m、静岡方面(下り線)が2864mという長大トンネルです。
高松トンネルの掘削開始は2020年。実際に掘っていくと予想よりも地質が悪く、掘削面が崩れたり、断面にゆがみが生じたり、湧水が発生したりと、とにかく悪地盤に悩まされてきました。
そうしたイレギュラーな地質に対処すべく工法の見直しなどを行い、慎重に工事を進めざるを得なくなったため、開通工期に遅れが生じたのです。
現時点で公表されている工事進捗は、2023年11月時点で「上り線1518m、下り線1372m」となっています。それから1年を迎え、また技術検討委員会が開かれ、最新の進捗状況が明らかになっていきそうです。
なお、その他の工区では切土や高架部、橋梁が完成形に近づいています。特に、東名からも見える巨大なアーチ橋「河内川橋(仮称)」は、2本の橋脚から少しずつアーチが両側へ伸びていき、10月初頭の時点で、互いのアーチが間もなく接続しそうな状況となっています。
とにもかくにも、高松トンネルが順調に、このままのペースで無事に進むことができるのか。それが「2027年度開通」のための条件となりそうです。1993年の着工からはや30年が経過し、いよいよ「ダブル高速ルート」は悲願の完成に近づいています。