Infoseek 楽天

全長4.4mでV8+6速MT搭載! 5ナンバーサイズの「小さな高級車」がスゴい! 340馬力&“匠”仕上げの「超豪華内装」採用! 超ド級な最速セダン「B8 4.6」は魅力的すぎる1台

くるまのニュース 2024年10月26日 21時10分

まだ5ナンバーサイズだった当時のBMW「3シリーズ」に4.6リッターのV8エンジンを搭載したアルピナ「B8 4.6」。その「無茶っぷり」具合と希少性。同社の中でも特別な存在だと言われている理由を探ります。

■コンパクトなE36・3シリーズに340psのV8を押し込んだ!

 小さめの車体に大排気量エンジンを搭載したクルマは、そのアンバランスさや高性能さに大きな魅力があります。
 
 BMWのチューナーとして知られるアルピナが1995年から1998年に生産した「B8 4.6」も、全長約4.4mというコンパクトな3代目「3シリーズ」に、4.6リッターという大排気量V型8気筒エンジンを搭載したハイパフォーマンスカーでした。

 1994年までにアルピナが手がけた3シリーズ由来の車種はさまざまです。

 初代3シリーズ(E21型)では「B6 2.8」「C1 2.3」など、2代目(E30型)では「C1 2.3/1」「C1 2.5」「C2 2.5」「B3 2.7」「B6 2.7/1」「B6 3.5」など、そして3代目(E36型)においては「B6 2.8/2」「B3 3.0」などが生産されていました。

 そして1994年。翌1995年がアルピナの創立30周年を迎えるため、それを記念するモデルとして「B8 4.0」が登場しました。

 B8 4.0は、「本家」ともいえるBMW「M3」に対抗できる性能を備えるべく、M3と同じくベース車の3シリーズに4リッターV型8気筒エンジンを搭載したモデルです。

 ボディサイズは3シリーズセダンと変わらず、全長4435mm×全幅1695mm、ホイールベースは2700mm。

 エンジンはBMW製4リッターV8 DOHC「M60B40」型で、これをアルピナのチューンによって、最高出力は286psから315psまでパワーアップ。トランスミッションはゲトラグ製6速MTが組み合わされました。

 M60型V8は、当時の「5シリーズ」(3代目・E34型)や「7シリーズ」(2/3代目・E32/E38型)にも採用されていたエンジンです。

 その無茶っぷりは、日本車でいえば、3シリーズのライバルであるレクサス「IS」に、2クラス上のレクサス「LS」用のV8を載せた「IS F」を例に挙げればわかりやすいかもしれません。

 ちなみに、B8はアルピナからの「3シリーズにV8を載せられるか?」との問いに対し、BMWは「載せられないことはないが……」と否定的な回答をしたという噂があるほど。

 実際の搭載にあたっては、ウォッシャータンクのトランク移設など、ボディに40箇所以上の変更・改造が必要だったとのことです。エンジン自体にもオイルパン・オイルポンプの設計変更などが生じました。

 しかしB8 4.0のエンジンはすぐに4.6リッターエンジンに置き換えられ、「B8 4.6」へと進化を遂げました。3982ccの排気量は4619ccまで拡大、ノーマルのエンジンでは排気量アップができなかったため、エンジンブロックはアルピナ製の鋳造ブロックに置き換わっています。

 最高出力も340psに増強され、0-100km/h加速5.6秒、最高時速280km/h以上とうたわれていました。

 なおアルピナのエンジンは、同社ブッフローエ工場で、極めて精度が高いパーツを熟練した職人が組み上げています。アルピナの生産台数が年間で1700台ほどにとどまる理由のひとつです。

 B8 4.0/4.6ともに、エンジンのパワーアップに合わせサスペンションもチューニングされました。

 スタビライザーの大径化、ビルシュタイン製ショックアブソーバーにアイバッハ製のスプリングを装着し、全高も20mmダウン。

「ASC+T」(オートマチック・スタビリティ・コントロール+トラクション)と称する横滑り防止と駆動力を制御するシステムも標準装備。ブレーキもリアにM3用を移植するなど、強化が図られています。

 性能が高められていただけではなく、深いフロントエアダムや20本の細いスポークを持つホイール、ピンストライプが与えられた控えめなエクステリア、手縫いの本革ステアリングホイール、ウッド製のシフトノブやパネル、青いストライプが入ったレカロシート、熟練工が入念に仕上げたインテリアなど、アルピナ流に内外装が上質・高級に仕立てられていたのは、他のアルピナ車と同じ。

 圧倒的な高性能と快適性を、高い次元で兼ね備えていました。

 そして、ベースのE36型3シリーズには、4ドアセダンのほかに2ドアクーペ、5ドアのツーリング(ステーションワゴン)、2ドアカブリオレというワイドなバリエーションが存在しましたが、B8 4.6ではそれらすべてが踏襲されました。

 ちなみに、B8 4.6の生産台数は221台と極めて少なく、中でもクーペは78台、カブリオレは23台のみの希少車です。なお、B8 4.0はさらに少なく、生産台数はわずか5台のみ。しかも全車が日本で販売されたといいます。

 なお現在、アルピナでは「B8グランクーペ」が販売されていますが、ベースが「8シリーズグランクーペ」のため、3シリーズ時代のB8の後継車ではありません。

※ ※ ※

 コンパクトな3シリーズに、300psオーバーを発揮するどデカいV8を載せたB8 4.6。

 アルピナにおいても3シリーズにV8を搭載した車種は他にもなく、同社においても特別な存在とされています。その希少性も相まって、日本で残存している中古車の多くは「価格応談」。

 1995年におけるセダン(のちに「リムジン」と名付けられた)の新車販売当時は1180万円でしたが、もしかすると今後はその価格を超える可能性も低くないと思われます。

この記事の関連ニュース