世界中で開催される自動車イベントでは、個性的なコンセプトカーが数多く登場します。その中から、今でも「この発想はなかった!」と思わされる、斬新なモデルを紹介します。
■ホンダが公開した斬新「箱クルマ」の正体は!?
「モーターショー」などの世界中で開催される自動車イベントでは、これまでも個性的なコンセプトカーが数多く登場。
中には「この発想はなかった!」と思わされる、斬新なコンセプトのクルマもありました。
その代表的なモデルのひとつと言えるのが、2007年に開催の「第40回東京モーターショー」でホンダから出展された「PUYO」でしょう。
当時の東京モーターショーでホンダは、「この地球で、いつまでもモビリティを楽しむために」をテーマとし、環境対応とモビリティの楽しさを両立する先進技術を用いたクルマを11車種18台展示。
後に市販化されたライトウエイトスポーツカー「CR-Z」も、ここで初めてコンセプトモデルとして展示され注目を受けたのですが、同様に目線を集めていたのが先述のPUYOです。
PUYOの特徴はなんと言っても、「シームレス ソフトボディ」をコンセプトに開発されたエクステリアにあります。
これは滑らかな曲線で構成された箱型のボディで、しかも触ると柔らかい「ジェルボディ」を採用。
くわえて、自車の位置や状態を示すためにボディが発光する構造となっており、この柔軟性のある車体と発光機能を組み合わせることで、安全性の向上を図っていました。
また、ルーフは全てガラスで覆われており、車内からは360度を見渡せるダイナミックキャビンを採用。
ドアは乗り降りがしやすいよう、開口部を広く取れるウイングアップドア(通称:ガルウィング)を装備しているのも特徴的でした。
ちなみに、PUYOという車名は、ジェルボディを触ったときの「ぷよぷよとした触り心地」が由来だと説明されています。
斬新なエクステリアに気を取られるPUYOですが、インテリアにも斬新な機能や構造が採用されていました。
それは運転方法にも見られ、ハンドルを使用して操作する一般的なクルマとは違い、PUYOはジョイスティックで運転します。
また、インパネのモニターとコンソールスイッチは、車両の待機状態ではダッシュボード部分に埋まっており、車両が起動すると手前に盛り上がります。
エクステリア同様に、発光する液体を用いたパネルのメーター表示なども、インテリアの近未来感を高めていました。
そんなPUYOの気になる駆動システムは、4輪ホイールインモーターになっており、その場で360度の定地旋回することも可能です。
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「クルマのボディは硬いもの」という長年の常識を打ち破る、斬新な発想で作られたPUYOでしたが、今現在まで実際に市販化される様子はありません。
しかし、環境問題を解決するひとつとしてスモールカーに注目が集まっている昨今、流行りのマイクロモビリティとして形を変えて登場すれば、再び脚光を浴びる素養は十分に備えているのではないでしょうか。