トヨタのインドネシア法人は、2024年10月15日、新型「ハイラックスランガ」を発表しました。発表会場には「SUV コンセプト」と呼ばれる7人乗りSUVが含まれていたようです。どのようなモデルなのでしょうか。
■新型「ハイラックスランガ」を発表! 注目は「3列7人乗りSUV」
2024年10月15日にトヨタは、新型「ハイラックスランガ」をインドネシアで発表しました。
その会場では、荷台の拡張性が高い同車の特性を活かした様々なカスタムモデルを展示。
なかには「SUV コンセプト」と呼ばれる7人乗りSUVが含まれていたようです。どのようなモデルなのでしょうか。
世界で活躍しているクルマの中には、日本では発売されていないモデルが多くあります。
その理由は、「日本人のライフスタイルに合わない」や「販売価格とコストが見合わない」など様々です。
しかし、昨今では海外で生産し発売したモデルを、“逆輸入”という形で日本発売するケースも少なくありません。
トヨタ「ハイラックス」もその1台です。日本で販売した結果、ハイラックスはヒットモデルとなって、日本でピックアップトラックの新たな市場を作りしました。
そんなハイラックスは近々、モデルチェンジを行うという噂もありますが、それよりも日本のユーザーの間で注目されているのが、タイで生産されている「IMV0」。
タイでは「ハイラックスチャンプ」、インドネシアでは「ハイラックスランガ」、フィリピンでは「ハイラックスタマラオ」、南米では「ハイラックススタウト」など国によりサブネームが異なります。
IMVシリーズは東南アジア地域を中心に、現地のニーズや価値観を基盤したクルマです。
新世代と呼ぶにふさわしい未来的なデザインと、様々なシーンに対応できる拡張性は日本でも注目を集めました。
なお、タイのハイラックスチャンプは、2024年1月に東京オートサロン2024でお披露目。
さらに7月には群馬パーツショー2024にも展示され、日本発売に向けて、マーケティングリサーチ中であることが明かされました。
さらにこの10月には、インドネシアで「ハイラックスランガ」として発表。
タイと同様に、2リッターガソリンエンジンと2.4リッターディーゼルを用意され、それぞれに6速ATと5速MTを設定。
駆動方式は2WDのみですが、ボディはショートシャシ(全長4970mm×全幅1785mm×全高1735mm、ホイールべース2750mm)とロングシャシ(全長5300mm×全幅1785mm×全高1735mm、ホイールベース3085mm)の2タイプがあります。
このIMV0シリーズの特徴は、クルマとして70%をメーカーが完成させ、残りの30%はユーザーの使い方に合わせてカスタムできるという点です。
これによりコマーシャルユースだけでなく、レジャーユースにも転用できます。
その一例として、インドネシアのハイラックスランガの発表会に展示されたのが、“SUV仕様”でした。
現在ではスタンダードなカテゴリーとなったSUVですが、その源流はピックアップトラック。
アメリカの若年層がピックアップトラックの荷台にキャノピーを取り付けて、多人数乗車と多用途を実現したのがはじまりと言われています。
このアイデアが後に、「ハイラックスサーフ(4ランナー)」や日産「テラノ」といった1980-1990年代の日本でヒットモデルに繋がりました。
■これは欲しい! 展示された「3列SUV」のハイラックスランガとは?
今回展示された3列7人乗りSUV仕様のハイラックスランガは、まさにその時代の造りを彷彿させるもの。
ロングシャシモデルの後部に、居住スペースを形成するシェルを載せて、シートが載せられています。
またシェル部分にはリアドアが設けられ、リアシートへの乗り降りが楽になっているのも注目ポイントです。
リアゲートは跳ね上げ式を採用し、大開口部によって大サイズの荷物もスムーズに積載。
MTBやキャンプ用品を積むなど、レジャーユースでの拡張性も考慮されています。
ちなみにハイラックスランガSUVでは、ホワイトとフラットブラックの2カラーを提案。
なお現地メディアによればPT Mekar Armada Jaya (New Armada) というトラック・バスの架装メーカーが製作したもののようです。
フラットブラック仕様は、まるで軍用車を思わせるようなタフな雰囲気を持っており、日本で発売したらヒットは間違いなさそうです。
このSUV仕様と併せて、トラックキャンパー仕様の「アドベンチャー」も展示。
こちらは後部居住部分の壁面が開口し、テントのように居住部分が車外に拡張できるようなっています。
また運転席上部にバンクスペースを持つなど、本格的なキャンピングカーになっています。
群馬パーツショーで車両の説明していたトヨタスタッフによれば、「早ければ2026年以降のIMV0の日本導入を目指したい」ということですが、安全基準や環境性能基準の適合といった課題も。
さらに、シャシだけといういわゆるトラック状態のこのモデルを日本でどう売っていくかというマーケティングも、まだ手探り状態のようです。
スズキ「ジムニー5ドア」同様に、海外では着々と販売国を増やしているIMV0。
今回、インドネシアでの発売にあたっては、最も安いガソリン車グレードが約181万円から、最も高いディーゼル車グレードは約294万円での販売というプライスが付けられました。
前出の担当スタッフは「可能であれば」と前置きしながらも、日本でもこれに近い価格で販売したい考えです。
IMV0の“純正カスタムパーツ”はタイで生産されるため、日本市場でどのようなタイプが発売されるかは不透明ですが、ぜひSUV仕様やキャンパー仕様の設定も実現してほしいところです。