トヨタはかつての「SEMAショー」に「シエナ」のリムジン仕様を出展していました。一体どのようなものだったのでしょうか。
■もはや「シエナ」ではない! ウルトラ高級仕立てに
ラスベガスで開催される世界最大のカスタムカーショー「SEMAショー」は、国内外のさまざまな自動車メーカー・カスタムパーツブランドが出展する大注目のイベントです。次回開催は2024年11月を予定しています。
そんなSEMAショーですが、トヨタの北米法人はかつてミニバン「シエナ」を非常に長く延長し「高級リムジン仕様」とした、ど迫力のカスタムカーを展示していました。
シエナは1997年に登場したスライドドア付き3列シートフルサイズミニバンです。先代の「プレビア(日本名:エスティマ)」の系譜を受け継ぐモデルで、北米を中心に海外で展開されています。
初代を除くすべてのモデルで、「アルファード」「ヴェルファイア」よりも大きいボディを持ち、全長は5mを超え、全幅も2mに迫るフルサイズミニバンとして販売されています。
現行型は2020年5月に登場した4代目で、米国では2021年にフルサイズミニバンセグメントでトップの販売台数を記録しています。
さて、2010年のSEMAショーで登場した「シエナ スワッガーワゴンシュプリーム」は3代目シエナの「XLE」グレードをベースにリムジン化したカスタムカー。単に車体を伸ばしただけでなく、非常に凝ったつくりとなっていました。
テーマとなったのは、シエナ登場時にテレビで放映され、多くの反響があったCM「スワッガー ワゴン」(意訳:自慢のワゴン)の世界観をフルに再現しました。
家族を優先して自己表現を犠牲にするのではなく、自分らしいスタイリングを作りつつも家族も満足できる機能的なクルマを目指したといいます。
ボディは全長を4フィート(1219mm)も延長。3代目シエナのボディサイズは全長5085mm×全幅1986mm×全高1750mmですが、これに4フィートの延長を加えると全長は6.2m以上で、非常に迫力のある体躯となりました。
エクステリアは北米らしい鮮やかなブルーメタリックのボディに、KMC製20インチホイールとフロント245/45R20・リア255/40R20サイズの扁平タイヤ、リアスポイラーを装着。スライドドア部のドアハンドルは撤去し、スムージング加工されています。
サスペンションは車高を自在に調整できるエアサスを採用。これにより、最低地上高は2.5インチから6.5インチ(約64mmから165mm)の間で調整できるようになっています。
例えばイベントでの展示では車高を落としてスタイリッシュに、走行時は障害物を乗り越えられる最適な高さを確保することが可能です。
そして、インテリアも「シュプリーム」という車名やエクステリアのカスタムに見劣りしない豪華なものとなっています。
ルーフには8フィート(約2438mm)の特製アクリルルーフを装着し、インテリア全体が自然光で満たされます。これにより車内を暖かい雰囲気に演出しています。
乗車定員は7名と変化はありませんが、ボディを延長した分、後席は極めて広い空間となりました。
2列目と3列目はソファのような回転式独立キャプテンシートを装備し、そのうちひとつは多機能マッサージ機能を備えた「スパシート」を採用。また、ブラジリアン チェリーウッドで仕上げられた豪華な仕立てのキャビネットやガラス張り冷蔵庫も完備。
高級なシートと合わせ、リムジン以上の贅沢なくつろぎスペースを展開しています。
さらに、23インチのHP製コンピューターおよび「Xbox 360」ゲームシステムを装備し、10台のスピーカー、2台のサブウーファー、4台の1700Wアンプを組み合わせるJBLサウンドシステムを構成。
くつろぐだけでなく、子どもたちも車内で存分に楽しめる、まさに「自慢のワゴン」に仕上がっています。
そんなシエナ スワッガーワゴン シュプリームは、当然ながら市販化はされませんでしたが、トヨタ公式による渾身のカスタム車として一躍話題になりました。
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次回のSEMAショーは2024年11月6日から9日まで開催。
このシエナ スワッガーワゴン シュプリームのように、メーカー公式が大胆にモディファイを施した車両も多く展示される予定で、目が離せません。