現在SUVのラインナップが主流となっているスバルですが、かつては同社の技術力とデザイン哲学を凝縮したスーパーカーを披露していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■スバルの技術大集合! ド迫力の「水平対向スーパーカー」とは?
現在スバルは日本において11車種を展開しており、そのうち6車種がSUVが占めている状況で、ラインナップの主流となっています。
しかし過去には、かつて同社の技術力とデザイン哲学を凝縮したスーパーカーを披露していました。
一体どんなクルマなのでしょうか。
そのクルマとは「VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ」です。
このモデルは、ソニー・コンピュータエンタテインメントが展開しているレースゲーム「グランツーリスモ」が手掛けるプロジェクト「ビジョン グランツーリスモ(Vision Gran Turismo、以下VGT)」によって誕生しました。
このプロジェクトは、グランツーリスモ15周年を記念して、開発者の山内一典氏が「各自動車メーカーにとって理想のGTカーをデザインしてほしい」と呼びかけたことが始まったもので、実在の自動車メーカーが未来のGTカーを想像し、ゲーム内で走らせることができるという革新的な活動です。
これまでメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、プジョー、さらにはフェラーリやランボルギーニなどの著名メーカーが参加し、2024年現在では35種類以上のVGTモデルが登場しています。
各メーカーが提供するVGTは、単なるゲーム内の車両を超えて、モーターショーなどで実物モデルが展示されることもあるほどです。
VGTはメーカーの未来ビジョンを反映し、コンセプトカーの役割を担っています。
これにより、各社のブランドが目指す方向性やテクノロジー、デザイン哲学がゲームを通じて表現されているのです。
スバルもそのプロジェクトに参画し、2014年11月にVIZIV GT ビジョン グランツーリスモを公開しました。
スバルのブランドを象徴するデザインと技術が融合した1台となっており、2014年のジュネーブモーターショーで発表された「VIZIV 2 CONCEPT」をベースに企画されたといいます。
VIZIV GT ビジョン グランツーリスモのデザインは、未来的でありながらもスバルらしさを強く感じさせます。
低く幅広いシルエットや立体的なブリスターフェンダー、ソリッドな面構成が特徴で、近未来のGTカーとしての存在感を放っています。
また、フロントには当時のスバルの市販車「レガシィB4」や「アウトバック」、「WRX」、「レヴォーグ」で採用されていたヘキサゴナル・グリルが搭載されており、スバルらしいアイデンティティを強調。
さらに、スバルが長年築いてきた「速くて実用的なステーションワゴン」のイメージを踏襲するかのような、シューティングブレークスタイルの2ドアワゴンボディが採用されているのも大きな特徴です。
このデザイン要素は、単なるスーパーカーではなく、実用性とスピードを兼ね備えたスバルのブランド理念を具現化しています。
パワートレインには、スバル伝統の2リッター水平対向エンジンが搭載されており、これにダイレクトインジェクションターボを組み合わせて高出力を実現。
また、フロントに1基、リアに2基のモーターが搭載され、システム全体の最高出力は600馬力に達するとしています。
さらに、各モーターは独立して制御され、トルクベクタリング機能により優れたコーナリング性能を発揮。
この技術は、実際のスバル車で採用されている技術と共通しており、リアルな運転体験が提供されることを示しています。
VIZIV GT ビジョン グランツーリスモは、スバルの技術力とデザイン哲学が凝縮された「夢のクルマ」として、ゲームのなかだけでなくクルマ好きの心にも深く刻まれた1台です。