一般道や高速を走っていると神出鬼没に現れる印象の通称「オービス」ですが、設置を事前に知る方法があるといいます。複数あるその情報取得方法について紹介します。
■オービスにもさまざまなタイプが存在する
速度超過を取り締まる機器、通称「オービス」は、神出鬼没に現れる印象があります。
しかし実はその情報を事前に知る方法がいくつかあります。
そもそも交通規則は遵守すべきもので、スピード違反はあってはならぬものです。
しかし安全運転に努めていたとしても、周囲の流れに乗って走っていたところ「ついうっかり速度超過になってしまった」という経験をお持ちのひとも少なくないでしょう。
速度取締り機器を指す「オービス」とは、正しくは米国「ボーイング社」および同社の特許権・製造販売権を取得した「東京航空計器株式会社」が製造する車両速度計測器の商標名のことをいいます。
また、英語表記は「Orbis」で「眼」という意味をもっています。日本の警察や公安委員会などでは「自動速度違反取締装置」と呼んでいます。
オービスは、高速道路や一般幹線道路を中心に設置される「固定式」と、可搬式車両速度計測器を用いた「移動式」、その中間となる「半固定式」の3タイプがあります。
自動で撮影する機器は目立ちにくく、気付いた時には通過していることもあるでしょう。
なかでも、可搬式の機器を用いてスピード違反の取締りをおこなうスタイルは、「ネズミ捕り」という俗語とともに広く知られているものです。
その語源について、警察内部で“隠語”として使っていたという説もありますが、真相は定かではありません。
計測器の先で待機する警察官により違反車両の停止が指示され、その場ですみやかに違反キップに署名・捺印ないしは指紋押捺を行うため、SNSなどではこれを「サイン会場」という俗語で呼んでいる人も見かけます。
このオービスやネズミ捕りでの取締りを事前に知るための方法が、実質「公式」に存在していることはご存じでしょうか。
■見逃せない「予告看板」に記載される文言とは
固定式オービスについては、その設置場所の手前に「速度自動取締路線」などと書かれた「予告看板」が設置されています。
予告看板は、高速道路で2kmおよび1km、500m手前、一般道では1kmおよび500m手前に設置されていることが多いようです。
予告看板は青地に白文字で書かれているものが最も多く、地域によっては黄色地に黒文字、白字に黒字というパターンも存在します。
半固定式オービスは、可搬式の自動速度取締機を一定期間設置(その期間はさまざま)するもので、移動式では設置期間が1日以内、場合によっては数時間となる神出鬼没の無人速度取締を行うものです。
いずれも、取締機の手前に警告看板が出されていることが多いようです。
ただ、オービスの手前に必ず予告看板を出さないといけない、という法律やルールは存在しません。
予告看板がなぜ存在するのかについて、肖像権やプライバシー権侵害とならないようにするため、という話がありますが、当局の正式コメントではないようです。
事実、警告看板が設置されていない移動式オービスの目撃情報はSNS上で散見されています。
また、2017年8月19日付の新聞「愛三時報」では「愛知県警が予告看板を設置せずに速度取締を行う」旨を報じていました。
さらに、移動式オービスの予告看板は小さく目立たないものが多いようです。
筆者(佐藤 亨)は、国道16号で相模原市内を走行中、50cm四方ほどのタペストリーのような予告“看板”とは言い難い、文字がかすれて見にくい表示が、歩道橋の欄干にぶら下げられているのを目撃したことがあります。
いずれにせよ予告看板をみかけたときには、あらためて制限速度で走行しているかどうかを確認すると良いでしょう。
■速度違反取締りはアプリや警察署のウェブサイトで確認可能だ
予告看板なしの移動式オービスについては、スマホアプリで確認する方法があります。
たとえば、有限会社パソヤが開発した「オービスガイド」というアプリでは、走行中に移動式オービスが設置されて“いた”場所を事前に知らせてくれる機能を提供しています。
この機能は「Yahoo!カーナビ」アプリの有料版にも採用されています。
この機能は、過去に移動式・半固定式オービスが設置されていた情報を元にドライバーに通知するもので、実際に存在するものを知らせるものではありませんが、法定速度内での走行を促す手段としては有効です。
また、いわゆる“ネズミ捕り”にも同様に対応しています。
なおこうした場所を変えておこなう取締りについては、警察署のウェブサイト上に毎月どこで行うのかを公開しています。
取締りを行う日時や場所の詳細までは掲載されていないことが多いですが、おおむねどの道で行われるのかは特定できます。
筆者は以前、警察になぜ速度取締りの予告看板や情報公開をしているのかを尋ねたことがあります。
その回答は「速度取締りを行う場所は、交通事故が多いところ。違反者を捕まえて罰金を取ることが目的ではなく、事故撲滅を目指している」とのことでした。
速度取締りに対して「レーダー探知機」も完全ではないものの有効なツールとして広く認識されています。
ただあらためて確認しておきたいのは、どんなモノや情報もスピードを出すためのものではなく、安全運転のために用いるべきツールだということです。