山梨県と埼玉県をスムーズに直結する「西関東連絡道路」の整備が進んでいますが、そのなかでも、秩父市内で谷筋の短絡ルートとなる「大滝トンネル」の工事が、佳境に入っています。いったいどんな工事で、どこまで進んでいるのでしょうか。
■7kmの山道がわずか2kmに
山梨県と埼玉県をスムーズに直結する「西関東連絡道路」の整備が進んでいますが、そのなかでも、秩父市内で谷筋の短絡ルートとなる「大滝トンネル」の工事が、佳境に入っています。
いったいどんな工事で、どこまで進んでいるのでしょうか。
両県は国道140号が、甲府市内から秩父市、関越道方面へ繋いでいます。狭く急勾配・急カーブの続く区間も多いため、それを高規格に整備するのが「西関東連絡道路」です。
甲府盆地を脱出するバイパス「甲府山梨道路」をはじめ、長い間断然状態だった県境付近の「雁坂トンネル」、秩父市内を丸ごと回避する「皆野秩父バイパス」「皆野寄居バイパス」など、各所でスムーズ化が完成しています。秩父市内では「長尾根バイパス」の事業も進められています。
折しも、静岡方面から甲府へ直結する「中部横断道」が2021年に完成。さらに、そこから甲府市街を避けてぐるっと回り甲府山梨道路へ直結する「新山梨環状道路」の整備も着々と進んでいます。
こうした一連の高規格道路が完成すれば、静岡~秩父~関越道の「列島縦軸」として、今まで遠い道のりだったエリア同士が、一気にスムーズに短絡されることとなり、期待が高まっています。
そのなかで、秩父市の奥の旧大滝村を抜けるのが「大滝トンネル」です。谷沿いにクネクネする7kmの道のりを、一気にトンネルで直進することで「わずか2km」に短縮されます。
その大滝トンネルが、2019年の着工から5年を経て、いよいよ大詰めを迎えています。2024年3月に貫通し、床面コンクリート(インバート)も完了。
さらに内部コンクリート(覆工)も、2053mのうち2012mが完了し、進捗率は「98%」に到達しました。トンネル内の非常駐車帯は広くなっていて厄介な作業ですが、それも9月中旬に完了しています。
覆工で最後の最後に残ったのは、秩父市街側のトンネル入口付近です。内部断面が変化するため、覆工打設用の移動型枠(セントル)をいちいち組み立てし直さないといけないので、大変な作業だといいます。10月中に31m分の作業を行う予定とし、このままでいくと、12月には打設が完了する予定だとしています。
とはいえ、すでに「ほぼ完成」の状態になった大滝トンネル。すでに学校児童や親子連れなどを対象に現場見学会が行われています。残る作業は、電気設備や防災施設、舗装工事や標識設置が残るのみです。