ハイブリッドカーの代名詞ともいえるトヨタ「プリウス」。このプリウスには「EX」という一風変わったモデルが存在していました。一体どのようなモデルだったのでしょうか。
■3年だけ存在した「EX」 実は「ひっそり支持」されたモデルだった
1997年に世界初の量産ハイブリッド車として登場して以来、ハイブリッド車の代名詞的な存在として広くその存在が知られているトヨタ「プリウス」。
現在は5代目が販売中ですが、ハイブリッド車自体が広く普及したことによってより個性的なモデルへと舵を切り、エモーショナルなデザインを纏ったことでも話題となりました。
そんなプリウスですが、2009年6月から2012年春ごろまで、「プリウスEX」なるモデルが販売されていたことをご存知でしょうか。
2009年6月といえば3代目プリウスが登場したあとの時期となりますが、このプリウスEXは2代目プリウスそのもので、なんと新型と旧型が併売されていたのです。
実はこの3代目プリウス、ハイブリッド車で個性的な5ドアハッチバックボディという基本スタイルこそ2代目と共通でしたが、エンジンが1.5リッターから1.8リッターへと排気量アップがなされたモデルでした。
そのため、自動車税の区分がワンランク高いものとなってしまうという問題が発生してしまったのです。
また3代目プリウス登場直前、2009年2月にはホンダから「インサイト」(2代目)が登場。
こちらも5ドアのハッチバックボディを持つコンパクトハイブリッド車でしたが、搭載エンジンは1.3リッター。そしてエントリーモデルの価格は189万円と、非常に低価格であったこともトヨタにとっては悩みの種だったのでしょう。
そこでトヨタがとった手法が、1.5リッターエンジンの旧型モデルを、新型と併売するというもの。
しかも装備を厳選し(フォグランプやホイールカバーをレス化)、ボディカラーも白、黒、シルバーの3色に限定。
内装色もグレーのみとするなど徹底的にバリエーションを抑えてコストカットし、プリウスEXとしてインサイトと同じ189万円という価格で販売したのでした。
実はこのように、「新旧モデルの併売」というのはトヨタとしては初の試みでした。
実際には3代目プリウスが好調なセールスを記録する裏で、プリウスEXもビジネスユーザーを中心に堅調な販売をマークしていたとのことで、顧客が2代目インサイトへ流出することも防ぐことができたと言われています。
ちなみに現在でも似たような例は存在し、現行型「カローラ/カローラツーリング」とともに、旧型の「カローラアクシオ/カローラフィールダー」を併売するという形がとられています。
この旧型カローラアクシオ/カローラフィールダーには、グレード名に「EX」が用いられており、プリウスEXの経験が役立っていると言えそうです。