教習車に使用されるトヨタ「コンフォート」。このベーシックな4ドアセダンに特別チューンを施した「爆速仕様のモデル」が市販化されていました。
■初心者お断りの「教習車」!?
トヨタが1998年から2018年まで製造していた「コンフォート」は、四角いライトとグリルを備えたベーシックな4ドアセダンです。
同車は主に教習車やタクシー用として活躍しているので、「コンフォート=商用車」というイメージを持つ人は多いでしょう。
しかし、このコンフォートには、特別にチューンされた「爆速仕様」といえるモデルが存在しました。
そのモデルとは、2003年から2004年にかけて市販された「コンフォートGT-Zスーパーチャージャー(以下、コンフォートGT-Z)」です。
これはトヨタテクノクラフト(現:トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)が、教習車用の「コンフォート」をベースにカスタマイズを施したコンプリートカーで、2003年の東京オートサロンにも出展された際にはチューニングカー部門で優秀賞に選出されました。
こうして高い評価を受けたことからコンフォートGT-Zは、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県のトヨペット店にて受注販売という形で市販化。
2004年に生産を終了するまでに59台が販売されました。(試作モデルを含めると合計60台)
コンフォートGT-Zのパワーユニットは、もともと搭載されていた2.0リッターの3S-FE型エンジンに、小倉クラッチ製のスーパーチャージャー「TX07」を追加。
さらに使用するガソリンをハイオクに変更するなどのチューニングを施し、エンジン性能を高めたうえで5速MTのトランスミッションを組み合わせます。
この結果、ベースは最高出力130馬力だったコンフォートが、チューン後は160馬力にまで向上。最大トルクも22.5kg-mまでアップし、大幅なパワーアップを果たしました。
またブレーキパッドも専用のものに変わっており、サスペンションもTRDのスポーツサスペンションを装備。
タワーバーやスタビライザーも、専用にチューニングされたものが採用されています。
さらにメーカーオプションには、TRD製強化クラッチやLSD、TRDセミバケットシートなども設定。
見た目は教習車用のコンフォートと同じく、四角いヘッドライトとグリルのセダンらしいベーシックなスタイルですが、特製のフロントスポイラーとリヤスポイラーを装備し、専用マフラーや8スポークのRSワタナベ製アルミホイールを備えたことで、十分以上に「ただものではないセダン」の雰囲気を醸し出していました。
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このように、教習車をベースに開発されたスポーツモデル「コンフォートGT-Zスーパーチャージャー」の当時の新車価格は、227万円から291万8000円。
59台しか生産・販売されなかったため、中古車市場にもめったに姿を現さないレアなクルマであり、もし見掛けることができたなら、それはかなり幸運な出来事といえるでしょう。