トヨタと岩谷産業は日本初の移動式の液体水素充填の実証実験を「イワタニ水素ステーション 愛知刈谷」にて行いました。
■日本初の移動式の液体水素充填の実証実験とは
2024年10月24日にトヨタと岩谷産業は、「イワタニ水素ステーション 愛知刈谷」にて日本初の移動式の液体水素充填の実証実験を行いました。
水素は、今後重要なエネルギーのひとつとして注目されています。
各自動車メーカーもその水素を燃料に燃料電池車（FCEV）を展開。
現在、日本ではトヨタ「ミライ」やホンダ「CR-V e：FCEV」、ヒョンデ「ネッソ」が販売されています。
これらの燃料電池車（FCEV）は、気体水素を燃料としています。
一方でTOYOTA GAZOO Racing＆ROOKIE Racingは、以前からスーパー耐久シリーズで気体水素を燃料とする個体と液体水素を燃料とする個体の異なる水素エンジン車（カローラ／GRカローラ）でレースに参戦してきました。
過酷な環境下で走らせるレースという場所で水素エンジンや水素社会の実現などに取り組んできました。
なお水素の運送や貯蔵に関しては、液体のほうが効率的とされています。
実際に全国で51箇所の水素ステーションを展開する岩谷産業ではそのうち80％のステーションで気体ではなく液体で水素を貯蔵しているといいます。
そのため、市販される燃料電池車（FCEV）に充填するには、液体で貯蔵されている水素を気体に変えて、安全な圧力にする処置が必要でした。
こうした課題をクリアすることや、燃料としての利便性を考慮し、各社は液体水素の活用法を実証しています。
そのひとつが、前述の液体燃料を使ったGRカローラで参戦することに繋がりますが、トヨタと岩谷産業は液体水素貯蔵槽から直接クルマに液体水素を充填出来る「液化水素充填設備」を開発車両し、レースの現場で実証を進めてきました。
この液化水素充填設備は、液化水素コンテナと車載タンクの圧力差のみを利用して車両充填を行うもので、動力（圧縮機、冷凍機）が不要です。
なお、車両待機中は液化水素充填配管の予冷を行い、迅速な充填作業が行えるようになっています。
そんななか今回、トヨタと岩谷産業はイワタニ水素ステーション 愛知刈谷にて日本初の移動式の液体水素充填の実証実験を公開しました。
実証実験では、トヨタの担当者から試験の目的などが説明された他、水素ステーションの現状や、今回の移動式液体水素充填器について岩谷産業の担当者が説明。
そして、実際に設置された「液化水素充填設備」からスーパー耐久レースに参戦していた水素エンジンを搭載する「GRカローラ」に液体水素を充填する様子も。
充填完了後は、エンジン始動まで行われた他、CO2を含んだ液体を排出する様子も見られました。
今後は、液体水素貯蔵槽を持つ水素ステーションにこの「液化水素充填設備」などを設置することで、将来的には「液体水素のモビリティー」での活用が期待されます。
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また今回は、愛知県の大村秀章知事も実証実験に来られ、次のように述べています。
「本日は、全国で初めて商用水素ステーションで液体水素を直接、自動車に充填し、見事、成功することができました。
現在の水素ステーションは、燃料電池車両に気体水素の充填を前提としていますが、本日試験していただいたように、液体水素を、既存の水素ステーションで充填できるようになれば、将来の液体水素自動車の普及に大いに期待ができます。
今回、実施するにあたり、愛知県としてはトヨタから相談を受け、国とも関係する法令についてひとつひとつ確認しながら進めてまいりました。
愛知県内には、現在、水素ステーションが35カ所（2024年10月時点）と日本一を誇り、全国2位の東京都22カ所を大きく引き離しています。
そうした中、本日の試験は、新たなモビリティの普及可能性が示されたところで、ここ愛知を起点に、全国へ展開されていくことを期待いたします。
本県としましては、引き続き、自動車分野、輸送分野やモノづくり分野をはじめ様々な分野における水素の利活用を促進し、水素社会の実現に向け、しっかりと進めてまいります」