日産のアメリカ法人は、2020年12月17日、「GT-R(X)2050」の実物大プロトタイプを公開しました。GT-R(X)2050とは一体どのようなクルマなのでしょうか。
■日産「GT-R(X)2050」ってどんなクルマ?
世界の各自動車メーカーが自社の将来性や技術力などを示すために様々な“コンセプトカー”を披露しますが、2020年に日産のアメリカ法人は、「GT-R(X)2050」の実物大プロトタイプを公開していました。
GT-R(X)2050は、アメリカ・カリフォルニア州パサデナにある「アートセンターカレッジオブデザイン」に在学していた、ジェブム・チェという学生が卒業作品としてデザインしたクルマ。2050年の日産「GT-R」をテーマにして製作されました。
2050年には高度な自動運転技術が実用化しているだろうと予想し、ドライバーの感情を反映できる自動運転モデルとして、既存の概念を打ち壊すようなシステムが組み込まれています。
具体的には、まずドライバーはスーパーバイクのライダーを思わせるような、体にフィットする「ドッキングスーツ」とヘルメットを着用した状態になり、手足をX字状態に伸ばして、うつ伏せに乗車。
乗車すると、ヘルメットがフロントのカメラと接続され、VRビジョンを表示し、コンピューターと接続したドライバーの脳からデジタル化された信号が送られ、車両がドライバーの意思を反映させながら自動運転を行うシステムです。
車両は人体の形に似ているため、脳を効果的に保護できるとの触れ込みで、クルマに乗るというよりはクルマを着るような感覚の「ウェアラブルマシン」を想定しています。
ボディサイズは、全長2908mm×全幅1537mm×全高658mm、ホイールベースは1756mm、乗車定員は1人。
エクステリアは、2020年当時のGT-Rを参考に、Vモーションデザインや丸型テールライト、「GT-R NISMO」の赤いアクセントなどを採用しているのが特徴です。
ダウンフォースを得るためのアクティブウイングも装備されていますが、格納式になっているため、ドライバーの乗り降り時にも邪魔になりません。
一体成形されたホイールとタイヤは、正方形に近い形状となっており、車両は360度回転させることも可能です。
タイヤの外径は21インチ、ホイールの内径は15インチで、ホイールのスポークパターンは、急ブレーキをかけてもホイールが素早く冷却されるように設計されています。
パワートレインはEVで、高出力モーターを搭載。
ジェブム・チェ氏がインターンとして働いていた、日産デザインアメリカの副社長であるデイビッド・ウッドハウス氏は、「衣服のように人々が体験できる新しい交通手段は、日産デザインアメリカで常に奨励されてきた、型破りな考えかたです。ジェブム・チェのビジョンの実現に貢献できたことを光栄に思います」と述べました。
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当時から見て30年後の自動運転モデルを想定して作られた、GT-R(X)2050。
クルマに乗るのではなくクルマを着るという発想は、発表から約4年が経過した現在でも非常に画期的です。