クルマを運転する際に加入する自賠責保険は自動車損害賠償保障法に基づいてすべてのドライバーに加入が義務付けられた強制保険であり、車種や保険期間などの条件が同じであれば、どの保険会社で加入しても基本的に保険料、補償金額は変わりません。ただし、沖縄県の自賠責保険料は他の都道府県と比べて安く設定されています。なぜでしょうか。
■沖縄県では「自賠責保険料」が割安に!
沖縄県は他の都道府県と比べて自賠責保険料が安く設定されているほか、全国で唯一ガソリン税の軽減措置がとられています。
では、これらは一体なぜなのでしょうか。
クルマを運転する際には「自賠責保険」と「任意保険」に加入するのが一般的です。
自賠責保険は自動車損害賠償保障法に基づいてすべてのドライバーに加入が義務付けられた強制保険であり、人身事故による死亡やケガなど対人損害賠償のみをカバーします。
その一方、任意保険は自賠責保険の範囲を超える損害に備えるもので、人身事故だけではなく物損事故によって発生した損害もカバーできます。
また任意保険は加入する保険会社や付帯するオプションなどによって保険料が異なります。
自賠責保険に関しては車種や保険期間などの条件が同じであれば、どの保険会社で加入しても基本的に保険料、補償金額は変わりません。
ただし、沖縄県の自賠責保険料は他の都道府県と比べて安く設定されています。
損害保険料率算出機構が公表している2023年1月届出の「自動車損害賠償責任保険基準料率」によると、自家用乗用自動車の場合、沖縄県とその他の都道府県では保険料に以下のような違いがあります。
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●沖縄県
12か月契約…7610円、24か月契約…9960円、36か月契約…1万2260円
●その他の都道府県
12か月契約…1万1500円、24か月契約…・1万7650円、36か月契約…2万3690円
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つまり、12か月契約では他の都道府県の保険料の約66%、24か月契約では約56%、36か月契約に至っては約52%と半額程度であることが分かります。
では、一体なぜ沖縄県は自賠責保険料が安いのでしょうか。
■自賠責保険料が安いワケは? さらに全国で唯一ガソリン税の軽減措置とは
その理由として、まず沖縄県が本土に復帰した1972年当時は沖縄県民の所得がその他の都道府県民の所得率より60%程度低く、沖縄県民の負担を考慮して価格設定をしたことが考えられます。
1972年度における沖縄県の所得率は40万5997円、東京都の所得率は1231万6987円であり、大きく差がある状況がうかがえました。
なお総務省が2021年5月に公表した資料「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果」においても、年間収入の最も多い都道府県が東京都の629.7万円、最も少ない都道府県が沖縄県の423.3万円となっており、依然として地域差があるといえるでしょう。
次に自賠責保険料が安い理由として、沖縄県は交通事故の発生が少なく、事故が発生した場合でも当事者同士の話し合いで解決するケースが多かったことが挙げられます。
加えて沖縄県は、島で走行範囲が限られることから事故リスクが低いとみなされることも影響していると考えられます。
上記のように沖縄県の歴史的背景や地理的状況、県民性などによって自賠責保険料が安くおさえられているといえるでしょう。
さらに沖縄県は全国で唯一、ガソリン税(揮発油税)が1リットル当たり7円軽減されています。
これは1972年の本土復帰に際して制定された沖縄復帰特別措置法(正式名称:沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律)に基づいて導入された措置です。
しかし沖縄県石油価格調整税条例では、沖縄県の離島へのガソリン輸送にかかるコストを踏まえて1リットル当たり1.5円の県税を県民から徴収しており、実質的には1リットル当たり5.5円の軽減といえるでしょう。
この軽減措置に関しては、沖縄県の本土復帰から50年以上が経過したことで廃止を求める声もありましたが、原油価格の高騰や沖縄県の経済に与える影響などを考慮して2027年まで延長されることが決まっています。
また、このような軽減措置があるからといって必ずしも沖縄県のガソリン価格が安く抑えられるワケではありません。
経済産業省資源エネルギー庁が公表している「石油製品価格調査」によると、2024年10月21日時点のレギュラーガソリンの全国平均が174.9円なのに対し沖縄県は178.8円と3.9円ほど高く、主に輸送費がガソリン価格に大きく影響しているものとみられます。
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沖縄県では自賠責保険料が他の都道府県と比べて安く設定されているほか、ガソリン税の軽減措置がとられています。
とはいえ、最近は原油価格の高騰や輸送コストなどからガソリン価格が高くなる傾向にあり、県民の暮らしにも少なからず影響を与えているといえるでしょう。