来る2025年1月にはカスタムカーの祭典「東京オートサロン2025」が開催予定ですが、2014年の同ショーでは、トヨタが「TE-Spyder 800」というコンセプトカーを出品していました。どのようなモデルなのでしょうか。
■現代版「ヨタハチ」!? テスハチとは
2007年に「MR-S」が終売となって以降、ライトウェイトオープンスポーツモデルが途絶えているトヨタ。そんなトヨタですが、2014年の東京オートサロンに「TE-Spyder 800」というコンセプトカーを出展していました。
このTE-Spyder 800は、1947年に発足したトヨタの有志団体である「トヨタ技術会」が手掛けたもので、課外活動を行う有志によって作られたもの。
かつて、大衆車の「パブリカ」のコンポーネンツを利用して生まれたライトウェイトスポーツ「トヨタ スポーツ800」の感動を、現代でも味わいたいというコンセプトで誕生しました。
その名称も、トヨタスポーツ800の愛称である“ヨタハチ”に合わせて、“テスハチ”という愛称が付けられていました。
この車両の大元のベースとなったのは、冒頭にも話題にした、現時点でトヨタ最後のライトウェイトオープン2シーター MR-Sですが、パワートレインには「現代の大衆車」といっても過言ではない「プリウス」に搭載されているハイブリッドシステムを採用したのが大きなポイントです。
ベースとなったMR-Sには1.8リッターエンジンが搭載されていますが、TEスパイダー800では、「オーリス」などに搭載されていた1.5リッター「1NZ-FE」型を最高出力85kW/150N・mまでファインチューニングをした上で搭載。
そこにプリウスに搭載されている「3JM」型モーターを組み合わせてPHEV(プラグインハイブリッド)としているのが大きな違いで、モーターも電圧のアップで75kW/220N・mへと出力向上がなされているのも特徴。
プラグインハイブリッドモデルということで、充電口は右リアフェンダーに設けられていました。
駆動方式はベース車と同じくMRで、トランスミッションはハイブリッドシステムを搭載したことで電気式無段変速機を採用。シフトはプリウスのようなレバー式ではなく、スポーティなボタン式に置き換えられています。
駆動用のバッテリーはセンターコンソールに縦長に配置し、フロントフードの下にはハイブリッドシステム用のインバーターやコントロールユニットを搭載することで、前後重量バランスにも気を配られていました。
車名に与えられた800という数字は、ヨタハチではエンジンの排気量を意味していましたが、このテスハチでは車両重量の目標数値を意味しています。
ベース車の面影ゼロのボディパーツは、FRPが多く採用されており、前後のフードにはカーボンを使用。さらにフロアやメンバー類、バルクヘッドなどにはアルミを多用することで更なる軽量化を実現しています。
このテスハチ、なんと実際に走行することができるように仕上げられており、0-100km/h加速は5.8秒と、6秒を切る実力を持っているとアナウンスされていました。
残念ながらこのテスハチは市販されることは叶いませんでしたが、今見てみるとグリーンのボディカラーやフロントマスク、そしてタルガトップタイプとなったルーフ形状などはホンダの「S660」を感じさせるスタイルとなっていたと言えるかもしれません。