リーズナブルな価格が魅力の「軽自動車」ですが、過去には上質感も兼ね備えた高級仕立てのモデルも存在。今でも同車を評価する様々なコメントが見られます。
■ダイハツの「“高級”軽自動車」に称賛の声!
現在、日本では「軽自動車」の人気が高まっており、小さなボディサイズを活かした取り回しの良さとともに、車両価格の安さも魅力となっています。
その一方で、内装の高級感を重視し、軽自動車でありながらハイグレードに仕立て上げた斬新なクルマも過去に存在。
同車を評価する様々なコメントが現在でも見られます。
そのクルマの名は、ダイハツの「タントエグゼ」。
広々とした車内空間が特徴の「タント」の派生車種であるものの、利便性よりもラグジュアリー感を重視した異色のモデルでした。
2009年、すでにデビューしていた2代目タントを追うかたちでタントエグゼは発売されました。
ベースとなったタントは、軽自動車らしからぬ広大な車内スペースによって人気を獲得していましたが、それにくわえてタントエグゼは「上質感」も加えられています。
同車の最大の特徴が「グラマラスシート」を名乗る厚みたっぷりの快適な座席です。
くわえて座面に起伏を設けることで、通常のタントを含む他の軽自動車では成し得なかった、上質な座り心地を実現しました。
さらに室内高もタントより20mm拡大され、より広々とした室内も両立。ベージュとブラックで統一された落ち着いた内装デザインも相まって、まさに「大人の軽自動車」だと評されました。
そんなタントエグゼの外観デザインには、ベースのタントと全く異なるスタイリングを採用。
ただ単純にタントを飾り立てたモデルではなく、いかにダイハツが力を込めて開発していたのかがうかがえます。
また同車のもう一つの特徴が、リアドアに高級車のようなスイング式ドアを採用する点。タントをはじめとする軽ハイトワゴンで人気のスライドドアをあえて使用しないことで、高級モデルとしての差別化を図りました。
こうして完成したタントエグゼは、上質なインテリアやシートの座り心地、走行中の快適性について高く評価されたものの、想定していたほど売れ行きは伸びません。
いま思えば、その理由のひとつは「ドアがスライドドアじゃなかったこと」にあるのかもしれません。
もはやスライドドアは必須となっていた軽ハイトワゴン市場において、あえてスライドドアを採用しないという選択は、多くの消費者の購入候補から外れることに繋がりました。
人気を挽回するためタントエグゼはマイナーチェンジを行い、より高級感のある外観を備えますが、残念ながら2014年9月で販売を終了。
軽自動車という枠の中で高級感を追求し、異例の上質感を実現したものの、約5年で新車市場から姿を消してしまいました。
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このタントエグゼについて、SNSでは今でも様々な投稿が行われており、「これ乗ってたけど良いクルマだった」「前後とも座面が広く分厚くて座り心地は最高でした」「発売してすぐに買った。小ささと快適性を求める人に最適なモデルだよね」など、実際に乗ったことのある人からの評価が非常に高いことが伝わります。
また、「ダイハツは定期的にプレミアムな軽自動車を出すね」「チャレンジ精神があって好き!」と、タントエグゼのような挑戦的なモデルを出したダイハツへの称賛とともに、「オートクルーズや自動ブレーキなどの先進機能を付けて再販して欲しいです」「海外メーカーみたいに、サイズは軽だけどしっかり作られた普通車を自分は欲しい」というコメントもあることから、“上質な軽自動車”としての後継車種が求められている様子です。
ただその一方で、「エグゼは乗ると良いクルマだけど、スタイリングは何をしたいのか分からなかった…」というデザイン面での指摘があったほか、「こういう高級な軽自動車が売れまくったら軽自動車税が上げられちゃうよ」など、税制についての話にまで話題が発展しているのも印象的でした。