2023年12月に国内市場へ復活したホンダ「オデッセイ」。売れ行きはどうなのでしょうか。また、どのようなユーザーが購入しているのでしょうか。
■ホンダを代表するミニバンの1つ「オデッセイ」とは?
ホンダの最上級ミニバン「オデッセイ」の現行型は、中国にある広汽本田汽車 増城工場で生産されており、日本に輸入されています。
復活してまもなく1年を迎えるホンダの最上級ミニバンであるオデッセイは、売れ行きはどれくらいなのでしょうか。また、どのようなユーザーが購入しているのでしょうか。
2021年末、60年近い歴史に終止符を打ったホンダ狭山工場。それに伴い、長らく同工場で生産されてきたオデッセイも、同じタイミングでその歴史にいちど幕を閉じたのです。
しかし、市場の根強い人気に応える形で、2023年12月に復活を遂げることとなりました。
歴代オデッセイとしては5代目にあたる現行型は2013年10月にデビュー。
その後、2017年11月および2020年11月にマイナーチェンジを行い、2023年12月に再登場した時点で一部改良が行われ現在にいたります。
つまり、モデルライフとしては11年目(生産を終了していた期間を含めて)という、ロングセラーカーでもあります。
歴代オデッセイの特長でもある超低床プラットフォームによる、ミニバンらしからぬ背の低いスタイリングと、両側電動スライドドア、さらには3列シートを装備することで、乗車定員は7名を実現。
セダンやステーションワゴンのようなスタイリッシュさと、ミニバンに求められる使い勝手を両立したモデルとして、オデッセイは根強い人気を誇っています。
また、現行型ではエアロタイプの「アブソルート」のみの設定になり、押し出しの強いフロントフェイスや上級モデルではレザーシートや電動リクライニング付きの2列目シートを備えるなど、フラッグシップミニバンとして存在感を強めています。
そんなオデッセイの販売店における売れ行きについて、埼玉県内にあるホンダ販売店の営業スタッフは以下のように話します。
「歴代のオデッセイを乗り継いでこられた方、箱型のミニバンには抵抗がある方がオデッセイに興味を示されてご来店されます。
ただ、現行モデルは500万円前後ということもあり、他メーカーのミニバンやSUVには多くのライバル車がひしめきあっています。
ご主人様としてはオデッセイが欲しいけれど、奥様の意向で他車を選ばれるというケースが多いのが実情です」
国内生産だった2022年まで、オデッセイの車両本体価格は300万円代半ば〜400万円代半ばという価格帯でした。
しかし、現行モデルは3つあるグレードはいずれも500万円前後へと移行しています。
自動車を生産する原価が相対的に高くなっているなどのさまざまな事情があるとはいえ、ユーザー目線では「高くなった」と思わざるを得ないのが現状です。
特に、現在では安価かつ取り回しのしやすいコンパクトミニバンが非常に高い人気を誇っており、ホンダでも「ちょうどいい」を売りにした「フリード」が高いシェアを獲得しています。
別の販売店の営業スタッフにも確認したところ、やはり価格がネックになっているケースがあることが分かってきました。
では、高くなったオデッセイを購入した人は、一体どこに魅力を感じているのでしょうか。
「当店でオデッセイを選ばれる方は“指名買い”というケースが多いですね。ホンダが好き、オデッセイというクルマが好きといった方たちです。
小さい頃にお父様がオデッセイに乗っていて、いつか自分も父親になったら乗りたいと思っていたとおっしゃるオーナー様もいらっしゃいました。年齢層でいうと30代後半から50代が中心でしょうか。
現在のご納期ですが、モデルによりますが、2カ月から6カ月といったところです」
ファンが多いオデッセイですが、その魅力は次の世代にも引き継がれているようです。
初代オデッセイがデビューしたのは1994年10月と、ちょうど30年前のこと。当時、小さなお子さんだった人たちが大人に、そして親となり、自分の両親が乗っていたオデッセイの後継モデルを手に入れる。
これはオデッセイというクルマが、1歩ずつ歴史をつむいできたからこそ成し得たことでもあります。
これからも、オデッセイがロングセラーモデルとして発売されることを願うばかりです。