現在、日産の車種ラインナップにはコンパクトミニバンが存在していません。しかし、かつて4m足らずのボディサイズに3列シート7人乗りのモデルを展開していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■わずか5年で消えた日産のコンパクトミニバンとは?
現在、日産のミニバンラインナップとしてミドルサイズの「セレナ」、フラッグシップモデルとなる「エルグランド」を展開しています。
両車とも3列シート7人乗りのシートレイアウトが採用されていますが、かつて4m足らずのボディサイズに、同じシートレイアウトを用いたモデルを展開していました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
そのクルマとは「キューブ キュービック(以下、キュービック)」です。
「キューブ」は日産がかつて製造・発売していたトールワゴンで、初代は1998年2月にデビュー。
その後2002年10月に2代目、2008年11月には3代目が登場するも、2019年12月に生産終了し、現在もなお復活には至っていません。
そんななかで、キュービックは2代目をベースとした新たなモデルとして、2003年9月に発表されました。
ボディサイズは、全長3900mm-3920mm×全幅1670mm×全高1645mm-1650mm、ホイールベース2600mmと、当時のベースモデル(全長3730mm-3900mm×全幅1670mm×全高1640mm、ホイールベース2430mm)と比較すると、全長とホイールベースが大きく延長されているのが特徴です。
エクステリアに関して、デザインはベースモデルと大きな違いはないものの、ボディが大きくなっているため、一目でキュービックだと分かるような存在感を醸し出しています。
インテリアは、ベースモデルが2列シート5人乗りなのに対して、キュービックでは3列シート7人乗りを採用。
また、3列目シートはワンタッチで畳むことができ、約1mの荷室が生まれるほか、2列目シートも倒せば広いフラットな空間が生まれ、大きな荷物を積んだり、横に寝転がることも可能です。
パワートレインは、1.4リッター直列4気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATまたはマニュアルモード付き6段変速のCVTを用意。
駆動方式はFFが採用されていました。
しかし、ベースモデルと比べて約100kg重いキュービックを引っ張るには力不足であったことから、2005年5月のマイナーチェンジでは1.5リッター直列4気筒エンジンが追加され、トランスミッションには新たにエクストロニックCVTを搭載。
FFに加え、新たに前輪をエンジンで駆動し、後輪をモーターで駆動するe-4WDも設定されました。
そんなキュービックですが、3列目シートがかなり狭く実用性に乏しかったことや、スライドドアがないことなどから、3代目キューブの登場とともに2008年11月に販売を終了。
後継の3代目キューブに3列シート仕様の設定はされず、わずか1代限りのモデルとなりました。
なお、2024年10月末時点での中古車市場では、10万円台から50万円台で販売されています。