クルマなどの燃料としてよく知られるガソリンですが、それ以外にも草刈り機や家庭用の除雪機、発動発電機などの燃料としても利用されています。現在は携行缶へのガソリン給油が厳格化されています。では、一体どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
■給油の手続きが複雑になった背景は?
ガソリンを携行缶に給油して自宅に持ち帰り、草刈り機や発動発電機などの燃料として利用する人もいますが、現在は携行缶へのガソリン給油が厳格化されています。
では、一体どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
クルマなどの燃料としてよく知られるガソリンですが、それ以外にも草刈り機や家庭用の除雪機、発動発電機などの燃料としても利用されています。
特に最近は自然災害による停電が相次いでおり、自宅に発動発電機を備えているという家庭もあるでしょう。
これらの機器を使うためには、ガソリンスタンドで携行缶にガソリンを給油して自宅に持ち帰る必要がありますが、携行缶への給油に関するルールは以前よりも厳格化されています。
この背景には、2019年7月に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」があります。
同事件はアニメ制作会社のスタジオに男が侵入し、バケツに入ったガソリンを撒いてライターで着火したもので、結果としてスタジオが全焼した上、社員36人が死亡、32人が重軽傷を負う大惨事となりました。
また犯人の男は犯行直前にガソリンスタンドで「発電機に使う」と嘘の説明をしてガソリンを約40リットル購入した後、事件現場の近くで携行缶からバケツに入れ替えたことも判明しています。
この事件を受けて危険物の規制に関する規則や消防法など関係法令が改正され、携行缶に給油する際の手続きが難しくなったというワケです。
もともと客自身が携行缶にガソリンを入れることは禁止されており、代わりにガソリンスタンドのスタッフが給油をおこなっていました。
現在はスタッフによる給油はもちろん、ガソリンを携行缶で購入する人に対しスタッフが本人確認と使用目的の確認をおこなうこと、販売記録を作成することが法
律で義務付けられています。
さらに給油を受ける利用者側もいくつか注意すべき点があります。まずガソリンの入った容器を乗用車で運搬する場合、容器は一定の性能試験をクリアした「最大容積22リットル以下の金属容器」または「最大容積10リットル以下のプラスチック容器」を使わなければいけません。
ただし、プラスチック容器に関して日本国内では基準に適合する製品がほとんど流通していないため、実際は金属容器を使うことになるといえるでしょう。
また性能試験に合格した容器には「試験確認済証」と呼ばれるラベルが貼付されており、携行缶購入の際にはラベルの有無を確認することが大切です。
そして灯油用のポリタンクにガソリンを給油したり、金属製の容器からポリタンクにガソリンを移し替えて運搬したりする行為は絶対にやめましょう。
消防法の規定ではガソリンを灯油用のプラスチック容器に給油する行為や、それを運搬する行為を禁止しており、実際にそれらの行為をおこなうと、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性があります。
何より、灯油用のポリタンクにガソリンを入れると容器が侵食されて変形したり中身が漏れたりする危険も考えられます。
ガソリンの引火点は-40度と低いことに加え、揮発性が高く引火しやすいことから、直射日光の当たる場所や高温の場所で保管しないこと、近くに火元になりそうなものを置かないといった点にも留意しましょう。
最近は上記のような手続きの複雑化によってスタッフの業務負担が増加したほか、トラブル防止や人手不足の影響もあり、携行缶への給油を廃止するガソリンスタンドも増えています。
これに対してSNS上では「最近は携行缶にガソリンを入れてくれるところが少なくなったので、まずスタンドを探さないといけない」といった声が聞かれました。
加えて、2024年10月19日に49歳の男がクルマで首相官邸前の侵入防止柵に突っ込んだ事件について、車内にガソリンの入ったポリタンクが積まれていたことが報じられており、このニュースを受けて「また携行缶への給油の規制が厳しくなるのか?」と規制強化を懸念する意見も複数寄せられています。
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ガソリンを携行缶に給油する際は基準を満たした容器を使用するほか、保管方法にも気をつけることが重要です。
また最近は携行缶への給油に対応するガソリンスタンドが減少しているため、事前に給油可能なスタンドかどうかを確認しておいた方が良いでしょう。