2024年5月17日に車庫法改正が可決し、「保管場所標章制度」の廃止が決まりました。今まで貼っていた車庫証明シールは今後どうなるのでしょうか。
■保管場所標章、33年の歴史に幕
2024年5月17日に可決した車庫法改正により、これまでクルマの後部に貼られていた「保管場所標章制度」(通称:車庫証明シール/車庫ステッカー)の廃止が決まりました。
2025年5月までに実施されるといいますが、いままで貼られていた車庫証明シールはどうすれば良いのでしょうか。
日本が高度経済成長のまっただ中、今から64年前の1960年に「所得倍増計画」が打ち出され、マイカーブームはますます盛り上がりを見せました。いっぽうで個人がクルマを所有することが増えたため、路上駐車が社会問題化します。
そこで政府は「自動車の保管場所の確保等に関する法律(略称:車庫法)」を1962年に施行。クルマの保管場所を道路にしないようにし、駐車場の確保を義務付けました。軽自動車では地域により車庫証明の要・不要がありますが、普通車は必須となっています。
車庫法施行から29年後の1991年には、車庫証明を取得した証として「保管場所標章」の公布が始まりました。
その背景には、特に都市部で駐車場不足が深刻化し、違法駐車が増えたという社会問題があります。
違法駐車の取締りを強化するため、車庫証明シールのクルマへの貼り付けを義務化し、警察は標章に記載された9桁の番号から所有者や保管場所の照会ができるようにしました。
そして車庫証明シールの制度開始から33年後の2024年5月17日、前述の通り車庫法改正が可決し、廃止が決まりました。
車庫証明シールの貼り付けの義務は、2025年5月までに廃止されますが、車庫証明制度自体は今までどおりで変わりません。
クルマの購入時や引っ越しなどで保管場所が変わったときには、今までと同じように警察署に車庫証明の届出を行い、車庫証明書の発行を受けなければなりません。
つまり、単に車庫証明シールの公布がなくなり、今までクルマに貼られていた車庫証明シールは剥がしても良くなっただけの変更です。
■なぜ保管場所標章廃止に至ったのか
保管場所標章(車庫証明シール)の廃止になった背景には、警察のシステム改修があります。
クルマの保管場所は2023年にはナンバーから照会できるようになっており、車庫証明シールに記載されている番号も不要となっています。
また、保管場所標章制度が始まった1990年代に社会問題化した都市部の駐車場不足は改善され、違法駐車が現象したという背景も、制度廃止の理由のひとつとなっているといいます。
さて、不要となった車庫証明シールを剥がしたいと考えている方は少なくないでしょう。
では車庫証明シールをキレイに剥がす方法をご紹介します。
用意するものは、シール剥がし剤とスクレーパー、ウエスないしはペーパータオル。霧吹きやドライヤーがあるとよりキレイに早く剥がすことができます。
スクレーパーは、ガラスに傷が付かないように樹脂製のものを選びましょう。
剥がし方は、シール剥がし剤の説明書に従って車庫証明シールに塗り、スクレーパーで剥がしていきます。シール剥がし剤は、シールの縁にしっかり塗るとスクレーパーが入りやすくなります。
シール剥がし剤だけでは剥がしにくいときは、霧吹きで車庫証明シールを濡らしてしばらく放置してから再度シール剥がし剤を塗布、十分に染みこませてから剥がしてみてください。
またスクレーパーで剥がす前に、ドライヤーで温めると剥がしやすくなることがあります。
車庫証明シールがリアウインドウの内側に貼られている場合は、曇り取りの熱線を傷つけないように注意しましょう。
また剥がすのは、ひとまず保管場所標章制度廃止が始まる日まで待ちましょう。車庫法改正法施行前に剥がしてしまうと、保管場所標章貼り付け義務違反となります。
車庫証明シールを剥がすことに対する直接の罰則、罰金は定められていませんが、車庫証明が取得できていない場合は10万円以下の罰金、保管場所に虚偽があった場合は20万円以下の罰金となります。
車庫法改正法が施行されれば、今後の車庫証明の届出(クルマの購入時、引っ越しなどで保管場所が変わったとき)では、保管場所標章発行手数料の500円が不要になります。これはちょっとしたメリットです。