セダンやクーペとしてお馴染みの日産「スカイライン」。しかし過去にはSUVタイプのモデルも存在しました。
■クラウンより先に「SUV化」していたスカイライン
日産の「スカイライン」といえば、セダンやクーペといったスポーティなボディタイプでおなじみのモデルです。
しかし過去にはSUVタイプのモデルも存在。一体どのようなクルマだったのでしょうか。
それが、2009年から2016年にかけて国内販売していたクロスオーバーSUVの「スカイライン クロスオーバー」です。
もともと日産は、海外展開している高級車ブランド「インフィニティ」にて、大型のSUV「EX」を2007年から販売していました。
このEXは、「V36型スカイライン」と同じプラットフォームを採用したボディに3.5リッターエンジンを搭載したモデルで、北米や欧州、中国でもラインナップ。
しかし日本では未発売だったため、手に入れるには手間を掛けて逆輸入する必要があったのですが、2009年に満を持して正規で日本市場にも投入されます。
その際、ブランドを海外向けのインフィニティから“日産”に変更し、車名には日本のユーザーに馴染のある“スカイライン”の名を採用。
こうして、スカイライン クロスオーバーという全く新しいモデルとして、日本販売がスタートしたのです。
そんなスカイライン クロスオーバーのボディサイズは、全長4635mm×全幅1805mm×全高1575mmと、もともとが海外用モデルらしくワイドな車体が特徴。
フロントデザインにはV36型スカイラインの面影がありながら、全体的にはより力強さとプレミアム性を感じさせるスタイリングに仕上がっています。
また、搭載するパワーユニットは3.7リッターのV型6気筒エンジンに刷新。
このエンジンは最高出力330馬力と強力で、1800kgという重量級の4WD仕様車でも快適に走らせることが可能でした。
さらにトランスミッションには電子制御の7速ATが採用されており、これもストレスを感じさせない滑らかな走行を実現しているポイントです。
ベースとなる海外モデルのEXがもともと高評価だったこともあり、スカイライン クロスオーバーの国内販売にも大きな期待が寄せられましたが、残念ながら販売数は伸びませんでした。
原因としては、ベースグレードでも420万円という当時としては高めの車両価格が挙げられます。
また“スカイライン”の名を冠しているものの、スカイラインを好きなユーザー層に「SUV」というボディタイプが刺さらなかったのも、マイナス要素だったと言われています。
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このように厳しい結果に終わってしまったスカイライン クロスオーバーですが、スペック自体は優秀だったこともあり、現在100万円前後で購入できる中古市場では「狙い目」といわれているクルマでもあります。
高級感に溢れ、スペックの高いSUVを手頃な価格で手に入れたい人には最適なモデルかもしれません。