ミツオカが1990年に発売したクラシカルなスタイルの「ラ・セード」。その中身は意外なFRクーペのスポーツカーでした。どのようなモデルなのでしょうか。
■人気すぎてわずか数日で完売
光岡自動車(以下、ミツオカ)といえば、スーパーカー「オロチ」が有名ですが、「ビュート」や「リューギ」、「ヒミコ」といったクラシカルなスタイリングのカスタムカーも複数手掛けています。
こうした「クラシックな見た目」のカスタムカーのひとつとして、大きな注目を集めたのが「ラ・セード」です。
ラ・セードは、ミツオカが1990年に発売したクラシックカー風のカスタムカーです。
ベースとなったのは日産「シルビア」のS13型。切断して長さを調節したシルビアのモノコックを、オリジナルの延長フレームに載せるという力技のカスタムを実施。
その結果、シルビアの全長(4470mm)を630mm伸ばした、全長5100mmをという立派なボディを実現。わかりやすい比較例として、日本で販売されている大きなサイズのトヨタ「アルファード」(全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mm)よりも長い全長を誇ります。
外装は全てFRP製になっており、ヨーロッパのクラシックカーそのものというスタイリングに仕上がっています。
ドア部などに一部シルビアの姿を残すものの、元が「シルビアのS13だよ」といわれてもにわかには信じがたいカスタム具合です。
エンジンはシルビアの1.8リッターCA18DE型をそのまま利用。トランスミッションは4速ATとなっています。
また、内装はほぼシルビアのままとなっており、見た目がクラシックカーなだけに、大きなギャップのあるクルマでした。
ラ・セードは1990年に500台限定で発売され、わずか数日で完売となりました。
2000年には、シルビアのS15型をベースとする2代目ラ・セードが登場します。
初代と同様にオリジナルの延長フレームにベース元のモノコックを載せるというカスタマイズが行われ、外装もFRPによるオリジナルパネルにより、初代と同じクラシックなスタイルへとチェンジしました。
初代と2代目の違いとしては、エンジンが2リッターの「SR20DE型」へと変更された点と、内装もS15型のものに変わっています。
しかし、それ以外は見た目を含めほとんど違いがありませんでした。
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ラ・セードは初代が500台、2代目が2000年に100台、2004年に3台が限定発売されて完売となりました。
それ以降は新規に製造されておらず、貴重なカスタムカーとなっています。
何台かは市場に出てはいるものの、価格は安くても300万円台となかなかの金額です。とはいえ、クラシックなデザインが好きな人にとっては、ぜひ手に入れたい一台でしょう。