公道で速度を出しすぎることに関して「速度超過」として違反になります。では、遅く走ることに関してはどのような違反になるのでしょうか。
■ノロノロ運転が複数の交通違反に該当する可能性も?
クルマを運転する際にはルールを守る必要があります。時々、わざとノロノロ走行するクルマがいるようですが、違反にはならないのでしょうか。
過去にはわざとノロノロ走行した通称「ノロノロおじさん」が話題となりましたが、どのようなものだったのでしょうか。
クルマを運転するときは多くのことに気を配る必要があり、「思いやり・ゆずりあい」の気持ちを持つことが大切です。
気を配らずに運転してしまうとつい違反をしてしまうかもしれません。
なかでも、一時停止違反や最高速度違反、通行禁止違反などは毎年取り締まり件数が多い違反となっています。
また、思いやり・ゆずりあいの気持ちを持たずに運転してしまうと、相手に不快な思いをさせるだけでなく、「あおり運転」に該当してしまうかもしれません。
あおり運転に関して、2020年6月30日には妨害運転罪が創設され、車両等の通行を妨げる目的で、不必要な急ブレーキや車間距離を詰めたりする行為は罰せられるようになりました。
スピードの出し過ぎや前の車両に嫌がらせをする運転はしっかりと取り締まられますが、一方でゆっくり走るクルマは違反にはならないのでしょうか。
以前、高速道路で人が歩くようなスピードで運転をしていて、後続車が追い越そうとするとスピードをあげて幅寄せをするように走り出すということがありました。
高速道路では普通乗用車の場合、道路交通法によって最低速度は時速50kmと規定されているため、渋滞しているわけでもないのにノロノロ走行することは違反になります。
また過去には、神奈川県の一般道でわざとノロノロ運転をする「10キロおじさん」という人物が話題になりました。
この人物は5キロから10キロほどのスピードしか出さず、追い越そうとするとクラクションを鳴らし続けるという運転を10年ほど続け、地元住民を悩ませていたようです。
このように故意にスピードを落としたり、後ろの車両に対して迷惑行為をする運転は「逆あおり運転」と言われるようになりました。
■ノロノロ運転、実際に遭遇したら?
では、一般道でノロノロ運転するような「逆あおり運転」は、通常のあおり運転のように違反にはならないのでしょうか。
警視庁の交通相談コーナーの担当者は次のように話します。
「逆あおり運転は通常のあおり運転と同様に、危険な運転でございます。
そのため、身の危険を感じた逆あおり運転は、クルマの特徴やナンバーを控えて、警察に通報してください」
ノロノロ運転に関して、前出の担当者は次のように話します。
「一般道は高速道路とは異なるため、最低速度というものはございません。
ですが、例えば最高50キロの道路で、10キロほどしか出ていない、あまりにも後続車に迷惑をかけてしまう速さの場合、安全運転義務違反に該当する可能性があります」
安全運転義務違反とは、幅寄せや蛇行運転をするなど、誰が見ても適切な運転ではないというもので、あおり運転の対象となる10類型の違反のうちの1つです。
あおり運転をしてしまった場合、罰則は重く、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、欠格期間2年間の免許取消しが科されます。
より悪質な場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金、欠格期間3年間の免許取消しとなってしまいます。
前のクルマがあまりにも遅い場合は、車線が2つ以上ある、もしくは中央線が白色であれば、無理に後ろを走らずに追い越すことも大切です。
ノロノロ運転や危険な運転に対し、クラクションを鳴らしたり不適切な場所で追い抜こうとすると自分自身が違反となってしまう可能性もあるので、落ち着いて冷静に対処しましょう。
もしあおり運転と思える運転に遭遇した場合は、安全な場所へ避難したり、警察に通報したりするだけでなく、ドライブレコーダー等を活用し、相手の行為を撮影することが効果的です。
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ルールを守って運転することは当たり前ですが、モラルのない運転も決してしないように心がけるようにしましょう。
もしも逆あおり運転に遭遇した際は、自分の身を守れるように、どういう行動を取れば良いのか知っておくと安心です。