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今や絶滅危惧種「完全分断国道」新潟県で進む「謎のトンネル計画」とは!? 事業化から半世紀 国道352号「萱峠バイパス」は結局どうなっているのか

くるまのニュース 2024年11月20日 7時40分

新潟県長岡市に、完全にブツ切れたまま半世紀以上も経過している国道があります。事業はいったいどうなっているのでしょうか。

■全く通り抜け不能な「分断国道」の現在

 新潟県長岡市に、完全にブツ切れたまま半世紀以上も経過している国道があります。
 
 中心街と旧山古志村をつなぐ国道352号の「萱峠」区間ですが、ここが開通まであとわずかという状況まで達しているようです。
 
 いったいどんなルートで、どこまで工事が進んでいるのでしょうか。

 国道352号はこのエリアで、魚沼市~長岡市の「道路空白地帯」を受け持つ存在です。

 小出まで出れば国道17号や関越道がありますが、その北側にある旧広神村や旧山古志村にとっては、長岡市街へ出るには一苦労でした。

 そこで長岡市中心部まで直結するのが国道352号ですが、途中の萱峠に阻まれ、全く通行ができません。長岡までの実質的な道路は、南側の県道23号(柏崎高浜堀之内線)だけです。

 しかし、萱峠に道路をつなげる計画は、確かに存在し、今も動き続けています。1980年に事業化した「萱峠バイパス」です。

 萱峠バイパスは全長11kmで、萱峠から谷筋にそって花立峠を回り込み、長岡市内に出ると想定されています。

 すでに半世紀が経とうとしていますが、新潟県議会でもほぼ言及は皆無で、事業パンフレットすらなく、実際に事業が進んでいるかすらわからない「幻の道路計画」として知られています。現地を訪問した人からは10年以上前から「トンネルは完成しているようだ」という情報が出ているのみです。実際どうなのでしょうか。

■ひそかにすすむ「萱峠バイパス」実際どうなった?

 全体計画としては、2024年に策定された新潟県の「道路整備に関するプログラム」に全貌があります。そこで分かるのは、事業完了が「2028年度」、全体事業費が「186億円」という2点です。

旧山古志村にあるアルパカ牧場(画像:写真AC)。

 新潟県の発注情報を見ると、萱峠バイパスの工事は今も発注が続けられています。その内訳は、橋梁工事と斜面工事が半々ほど。100m単位に細かく工区を区切って、少しずつ少しずつ進められているのがうかがえます。

 ところで、肝心のトンネルはどうなったのでしょうか。県の担当者は「トンネルは萱峠、奥ノ院、竹之高地の3本ありますが、いずれも覆工(内部コンクリート)、インバート(下部コンクリート)、舗装などが完了しています。その先の電気設備や標識などは、開通めどが出てから、開通に間に合うように発注していく予定です」と話します。今作っても、使わないのに耐用年数だけ経ってしまい勿体ないというわけです。

 というわけで、残りは橋と切土部分が終われば、2028年度開通へ漕ぎつけられる――と思われますが、実は全体状況は全く異なります。

 実は今進められている事業は、萱峠バイパスの全体計画のほんの一部にすぎないのです。萱峠を抜けて北側に達したところで終わり。そこから花立峠を経て長岡側の開通済み区間へ向かうまでの約3kmは、依然として「事業化すらまだ」の状況です。

 とはいえ、萱峠を抜けて竹之高地へ出れば、すぐ南側に蓬平温泉があります。そこから先述の県道23号に出れば、長岡市街に到達します。

 旧山古志村の種苧原(たねすはら)など東部エリアからは、この県道23号へ出るまでも山道を大きく南へ迂回しなければならず、長岡までは果てしない道のりでした。「萱峠バイパス萱峠工区」さえ開通すれば、約13kmの道のりが蓬平回りで約半分になり、恐ろしい急カーブばかりだったのがまっすぐなトンネルになって走りやすくなると期待されています。

 日本ではもはや数少なくなった「完全分断国道」のひとつ、国道352号。それが最終的につながるまではまだ数十年単位の時間がかかるかもしれません。

 しかし、長年の悲願だった「萱峠越え」は、いよいよ秒読み段階といった状況に入っています。

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