2024年で誕生から50周年を迎えるフォルクスワーゲンのコンパクトカー「ゴルフ」ですが、かつてW型12気筒エンジンを搭載した、ゴルフ史上最強ともいえるモデルを披露していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■小さなボディに巨大エンジン! ロマンあふれる「最強ゴルフ」とは?
フォルクスワーゲン「ゴルフ」は、1974年から現在まで発売されているコンパクトカーです。
2024年で誕生から50周年を迎え、現在まで累計3700万台以上を売り上げるほどの人気を博しています。
これまで様々な派生モデルが展開されてきましたが、なかにはスーパーカーと肩を並べるスペックを持った、ゴルフ史上最強ともいえるモデルを公開していました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
そのクルマとは「ゴルフ GTI W12-650」です。
ベースとなっているのは2003年から2009年まで生産・販売されていた5代目ゴルフのうち、スポーツバージョンとして位置づけられているのが「ゴルフ GTI」です。
日本にも2004年に導入され、フォルクスワーゲン初のガソリン直噴ターボと、新世代ギヤボックス6速DSG(デュアルクラッチ・トランスミッション)が搭載されたこと、さらにレッドラインとブラック塗装されたフロントのハニカムグリル、大型バンパーというGTI専用のフロントデザインが初めて採用されたことが特徴的でした。
エンジンは最高出力200ps・最大トルク280Nmの2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載。
その後に登場したスペシャルモデル「GTIピレリ」では、最高出力230psにパワーアップされています。
そんなゴルフ GTIをもとに登場したゴルフ GTI W12-650は、2007年にオーストリアのヴェルター湖で行われたフォルクスワーゲン愛好家が集うファンミーティング「ヴェルターゼー」で発表されたコンセプトカーです。
心臓部には、なんと当時のベントレー「コンチネンタルGT」に採用されていたW型12気筒ツインターボエンジンが搭載されていることから、名前にも用いられています。
この強力なエンジンは最高出力650ps・最大トルク750Nmと、ベースモデルに比べて出力及びトルクともに3倍近くのスペックを誇ります。
また、本来ならフロントボンネット下にエンジンが搭載されているものの、大型の12気筒エンジンが物理的に収められないため、ドライバーの後ろに配置。
フロントではなくリアを駆動するミッドシップレイアウトにすることで、ゴルフらしいイメージを保ちながらW型12気筒ツインターボエンジンを上手く搭載しています。
トランスミッションには、当時フォルクスワーゲンのフラッグシップセダンだった「フェートン」の6速ATを組み合わされ、停止状態から100km/hまで加速するのに要する時間は3.7秒、最高速度は325km/hを記録しており、これらの数値からも一般道では手に余るようなクルマであることが分かるでしょう。
そのほか、リアのダブルウイッシュボーンサスペンションとリアブレーキにはランボルギーニ「ガヤルド」のものを、フロントブレーキはアウディ「RS4」のものを搭載するなど、ハイパワーな動力に対応できるよう強化されています。
くわえてエクステリアには、専用デザインを採用しつつ、ノーマルゴルフGTIのドアやヘッドライト、エンジンフードを採用することで、ゴルフGTIのイメージを保っているのも特徴です。
ボディサイズは全長4200mm×全幅1880mm×全高1420mmと、5代目ゴルフGTIよりも約16cm幅広く、車高は約7.6cm低くなっており、そのワイド&ローのスタイルは只者でない雰囲気を放っています。
なお、コンパクトカーではなかなか見られないパワーと後輪駆動のパッケージを操るのは簡単ではなかったうえ、コンセプトカーなので市販化はされていませんが、実際に史上最強のゴルフを目の前にしただけでも、集まったファン達は胸が高まったことでしょう。