約8割が交通集中によって引き起こされるというクルマの渋滞。ただドライバーひとりひとりがあることを意識することで酷い渋滞を回避もしくは緩和できることをご存じでしょうか。
■回避不可な「自然渋滞」が発生するメカニズムとは
クルマで出かけるとなると、やっかいなのが高速道路の渋滞。交通集中による渋滞は避けられないものです。
しかし実はドライバーの運転操作で、渋滞も「ある程度」は回避、緩和ができるといいます。
高速道路の渋滞は、「交通集中」 「工事」 「事故」の3大要因で起こるといわれています。
NEXCO東日本によると、2019年に発生した渋滞のうち、約76%は交通集中を原因とする渋滞だったそう。
このうち約63%は上り坂、およびサグ部(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)で発生しているといいます。
たとえば東名高速下り方面の大和バス停付近や綾瀬バス停付近、中央自動車道上り方面の小仏トンネル付近など、渋滞で有名な場所は、もれなくサグ部となっています。
上り坂やサグ部では、速度をキープしているつもりでもクルマは自然に減速していきます。すると前走車との車間距離が詰まります。
そうして後続車がとっさにブレーキを踏み、またその後続車もブレーキを踏む……これが連鎖することで、渋滞となっていくのです。
比較的新しい新東名高速道路などでは、そうした渋滞の原因となる起伏が極力できないように設計されていますが、既存の高速道路の起伏を無くして平らにするのは現実的ではありません。
みすみす渋滞の要因がわかっていても、解消が難しいのが現状なのです。
何十キロといううんざりするような渋滞を避けるには、もちろん道路の整備も必要不可欠ですが、渋滞を引き起こさないようにする、ひとりひとりのドライバーの運転操作も大切です。
なかでも、ドライバーがあることを意識して運転することで、渋滞を緩和する方法があるといいます。
■「適度な車間」が渋滞を緩和する!?
日産は公式サイト上で、車間距離が40m以下で起こる事象について警鐘を鳴らしています。
車間距離が40m以下だと、前走するクルマがブレーキを踏むことで、後続のクルマがより強くブレーキを踏む傾向があるというのです。
これがさらに後続のクルマへと連鎖していくことで流れが止まってしまい、渋滞が起きやすくなってしまう訳です。
実際に、車間距離を40m以上あけることによって速度が回復し、渋滞が軽減されたという社会実験の結果もあります。
渋滞していると、少しでも前へ進みたい気持ちが先走り、車間距離はついつい詰めがちになってしまいます。
そこであえて車間距離をとることで、車間距離が「クッション」の役割をはたし、前のクルマが大きく減速してもブレーキを踏むことなく(または踏む頻度を減らし)、速度を保って走行することができるというメカニズムです。
この適切な車間距離とされる「40m」を図る便利な方法としては、高速道路に設置されている車間距離確認区間を利用するのも良いですが、走行車線と追い越し車線の間の白線(レーンマーク)を利用するのもおすすめです。
レーンマークは8mの白線と12mの空白で構成されているため、白線と空白2つずつ分がちょうど40mということになります。
ただし車間距離の空けすぎも良くありません。
JAF(日本自動車連盟)によると、車間を空けすぎていると後続車が車間を詰める傾向があり、新たな渋滞の原因となるとのこと。
渋滞中や渋滞末尾では、ハザードランプやブレーキランプの断続点灯をするとともに、適切な車間距離をとることを意識するようにしたいものです。
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適切な車間距離は、渋滞末尾への追突事故のリスクも減らしてくれます。
普段から適切な車間距離をとることは必要ですが、交通集中が予想されるときは特に「40m」を意識し、少しでも後続に渋滞を伝えない運転を心がけるようにしたいところです。