スズキは過去に、まるでラウンジのようなシートレイアウトを採用したコンパクトミニバンを披露していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■個性的なシートアレンジが光るミニバンとは?
過去の東京モーターショーでは、各自動車メーカーから様々なコンセプトカーが出展され、なかには今なお市販化の声が寄せられるほど、注目を集めたモデルがありました。
例えば、スズキが2015年に出展した「Air Triser(エアトライサー)」は、個性的なシートアレンジができたことで話題になったクルマです。
エアトライサーは、箱型のいわゆるミニバンタイプのコンセントカーです。
ボディサイズは全長4200mm×全幅1695mm×高さ1815mmと、コンパクトミニバンのホンダ「フリード」やトヨタ「シエンタ」と同じくらいのサイズです。
コンセプトカーらしい、シンプルかつ近未来感のあるエクステリアも特徴ですが、エアトライサーの特筆すべき点はインテリアです。
そのシートレイアウトは、1列目が運転席と助手席、2列目が左右独立型のシートが2つ、3列目がベンチタイプのシートとなっています。
このままだと一般的な3列シート車ですが、実は2列目シートが右側に寄せられる構造になっているのがポイント。
シートの下には動かすためのレールが敷いてあり、2列目の右側シートを運転席側に動かし、その2列目の右側シートがあった場所に、2列目左側シートを移動させることができます。
くわえて、運転席と助手席、2列目の背もたれを前側に倒してフラットにすれば、車内にコの字型のソファーのようなシートを作ることが可能です。
また、シートは対面式にすることもできるといいます。
スズキは、座席をコの字型にするシートアレンジを「ラウンジモード」と名付け、エアトライサーを「どこでも連れ出せるプライベートラウンジ」とアピールしていました。
ほかにも、Bピラーから天井がディスプレイになっており、スマートフォンを接続することで、音楽を聴いたり、写真を投影して見たりすることもできます。
複数人はもちろん、1人用のプライベートスペースとして活用することも配慮されています。
そんなエアトライサーは、同じく2015年の東京モーターショーでスズキが展示したユーティリティーSUV「マイティデッキ」と共に注目を集め、市販化を望む声も集まりましたが、残念ながら現在までに実現していません。
しかし、コロナ禍を経て、おひとりさま需要が拡大し、パーソナルスペースの重要性を増した今こそ求められるクルマだといえます。
約10年越しに市販化が実現するか、今後に期待したいところです。