スズキはかつて「ツイン」という超小型の軽自動車を販売していました。一体どのような特徴があったのでしょうか。
■ハイパーコンパクトなスズキ「ツイン」
スズキはこれまでに数多くの軽自動車を販売してきましたが、なかには高い注目を集めながらも、販売不振により短い期間で消えてしまったモデルがあります。
例えば、2003年に登場した「ツイン」は、チャレンジングなコンセプトで話題になったものの、約3年で市場から消えてしまったクルマです。
ツインはスズキが2003年1月に発売した2人乗りの軽自動車です。ボディサイズが非常にコンパクトなため、軽自動車のなかでも小さな軽マイクロクーペに分類されます。
ツインの特徴は、先述のように「コンパクトなサイズ」です。ボディは全長2735mm×全幅1475mmと非常に小さく、ドアは左右の2つのみ。
さらにリアゲートは無く、後方の小さなガラスハッチが開くだけというシンプルな構造になっています。
エクステリアは全体的に「丸」を用いたデザインを採用。ヘッドライト・リアライトも丸いデザインのものが用いられており、小さなサイズのボディも相まって、まるで「おもちゃのクルマ」のような見た目でした。
このおもちゃのようなかわいらしいボディには、最高出力44馬力の「K6A型エンジン」を搭載。直列3気筒DOHCの4バルブエンジンで、スズキの軽自動車の多くに採用されてきた名機です。
ガソリンモデルだけでなく、5kWのモーターでアシストする「ハイブリッドモデル」もラインナップされており、軽自動車のハイブリッドモデルは、このツインが初めてでした。
また、トランスミッションはガソリンモデルが3速ATと5速MT、ハイブリッドモデルは4速ATが用意されていました。
ガソリンモデルのうち、5速MTモデルは約49万円と低価格となっており、これは必要最低限の装備のみとすることで実現した価格。
装備を充実させたグレードもありましたが、それでも68万円と低価格で販売され、後に追加されたハイグレードモデルでも78万円と総じて手ごろな価格でした。
一方、ハイブリッドモデルは販売価格が135万円からと、ガソリンモデルの約2倍。
このハイブリッドモデルの燃費は34km/L(10・15モード)と、26km/Lのガソリンモデルよりも優れていましたが、これだけ価格の差があるとさすがにユーザーの目線は厳しく、ほとんど売れませんでした。
後にハイブリッドモデルは受注販売へと変更。ガソリンモデルもコンパクトで低価格だったものの、売れ行きは芳しくなく、いずれも2005年12月で販売を終了しています。
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ツインは注目を集めたものの、1万台ほどしか生産されず、約3年間で消えてしまったクルマでした。
しかし、現在では「小さくてかわいいクルマ」として根強い人気がある一台。とはいえ、販売期間の短さと販売台数の少なさから、程度の良い中古車は少ないようです。