ENEOSは「SEMAショー2024」で、カスタムカーの「ダットサン 240Z(日本名:フェアレディZ)」を初公開しました。「湾岸ミッドナイト」の“悪魔のZ”がモチーフだといいますが、どういった点が特徴なのでしょうか。
■再現度高め!? “悪魔のZ”改め「デビルZ」のクオリティがすげー!
ENEOSは2024年11月5日から4日間、米国ラスベガスで開催されたカスタムカーショー「SEMAショー2024」で、「デビルZ」を世界初公開しました。
人気自動車漫画「湾岸ミッドナイト」に登場する“悪魔のZ”がモチーフだといいますが、どのような特徴があるのでしょうか。
フェアレディZは日産が1969年から販売している2ドアのスポーツカーです。
2ドアオープンスポーツカー「ダットサン フェアレディ」の後継モデルですが、オープンボディを廃し、流麗なファストバックスタイルを採用。高性能な6気筒エンジンやハンドリングに優れたFR駆動を採用し、北米を中心にヒット作となりました。
現在においても7代目(6代目改良型)が販売されており、ファストバックのスタイリッシュなボディや6気筒エンジン+FRという流れが受け継がれ、国産スポーツカーの代名詞として長い歴史を誇ります。
このうち、初代(S30型)は先述のような斬新なスタイリングに加え、当時は非常に高性能であったことから数多くのモータースポーツでも活躍。1978年の生産終了までに世界累計52万台を販売した“世界で最も売れたスポーツカー”のひとつとなっています。
ゆったりとした居住性を持つことから、北米で展開後は高い人気を獲得。フェアレディZの主力市場として位置づけられます。販売初期は日本仕様の2リッターエンジンの排気量をアップさせて、ダットサン 240Zとして販売されました。
そして、今回ENEOSが披露したダットサン 240Zは人気の自動車漫画シリーズ「湾岸ミッドナイト」に登場する“悪魔のZ”をモチーフにカスタムされています。
“悪魔のZ”とは主人公である朝倉アキオが手にするフェアレディZで、ミッドナイトブルーに塗装された改造車。
これまでこの個体を所有してきたオーナーたちは事故ですでに他界していたり、あるいは怪我に見舞われたことから「悪魔」として恐れられています。
今回の「デビルZ」は、1971年式のダットサン 240Zをベースに、オーナーのジョン・ラウ氏とデザイナーのジョン・シバル氏がコラボして製作しました。
“悪魔のZ”との共通点はまずそのエクステリアで、ブルーのカラーに塗装。このカラーはポルシェの特別塗装色「サンマリノブルーメタリック」で仕上げられています。
そしてエクステリアも空力を向上させ、精悍なイメージを与えるヘッドライトカバーやフロントリップスポイラー、「ダックテール型」のリアスポイラーを装着。
作中でのスポイラーのメーカーは不明ですが、デビルZではSkillard製を採用しています。
ボディは“悪魔のZ”では高木という人物によってオーバーフェンダーに仕上げられ、ワイドタイヤをインストールすることができています。
一方のデビルZでは、全幅を拡大させる大型ワイドフェンダーのボディキットを組み込み、旧車らしい線の細い雰囲気から一変させ、レーシングマシンのような凄みを生み出しています。
前後ホイールは原作ではRSワタナベの8本スポークと当時らしいものを装着していたのに対し、デビルZはフロント17インチ×11.5J、リア18インチ×13Jの「ワーク マイスターM1」をインストール。これにトーヨー「プロクセスR888R」(フロント:275/40R17・リア:315/30R18)と、ハイパワーに耐えるように体幹を強化しました。
このあたりは現代のカスタムトレンドにマッチした仕上がりといえ、グリルの意匠やテールランプのデザインなどは現行型のフェアレディZに共通性を感じさせるもので、まさに現代に蘇った“悪魔のZ”といった佇まいになりました。
パワートレインも原作顔負けともいえるほど非常に手が入っており、搭載エンジンは2.8リッターの直列6気筒SOHC「L28(なおダットサン 240Zの標準はL24型)」をさらにチューニング。
搭載エンジンはL24型ではなく、のちに搭載されることになったボアアップバージョンの2.8リッター「L28」に換装。これに87mmの鍛造ピストン、コネクティングロッドを組み、ポート研磨や加工を施した「P90」ヘッドを装着。
さらに3リッターへとボアアップし、かつギャレット製「G35-900」ターボチャージャーを搭載しました。給排気系も手が入り、ハルテック「2500」による電子制御インジェクション化なども果たして、飛躍的にパフォーマンスが高まっています。なお、最高出力などは公表されていません。
駆動系は日産の6速マニュアル×フォード製デフに換装し、高出力に耐えうるものとしています。
このほか、340mm径ローターのハイパフォーマンスブレーキやApexエンジニアードのサスペンション、NOS(ナイトロオキサイドシステム/ニトロ)の搭載、フレームおよびボディの強化なども実施し、体幹の強化も図りました。
デビルZの出力などは不明ですが、原作ではL28型の3.1リッターボアアップにIHI製ツインターボを搭載し、オイル潤滑方式もドライサンプへと変更。約600馬力を発生するとしていました。
同じL型エンジンをベースにボアアップの実施とツインターボ化を施工した点では、まさに原作通りといえ、SNSなどでも、「RB型」などの高性能エンジンを搭載しなかった点について高く評価するマニアもいるようです。
また、原作にはないものとして、“イースターエッグ”が随所にあしらわれました。
ボンネットには悪魔からインスピレーションをうけたフォークエンブレムや「悪魔のZ(Devil Z)」のオイルキャップなどを装着。車両を見たユーザーが楽しめるような遊び心も取り入れられています。