夜間とはいえ、雨などの悪天候ではないのに、「リアフォグランプ」を点灯させたまま走るクルマがいます。これが後続車にはまぶしく感じられ、夜間の視界に悪影響を与えると不評を買っています。
■「リアフォグランプ」一体いつ使うもの?
夜間とはいえ雨も降っていない状況で、やたらとまぶしい前走車を見かけることがあります。
まぶしさの原因は「リアフォグ(リアフォグランプ)」を点灯させたまま走行しているため。
点けている当の本人は気付いているのか、意図的に点けているのかはわかりかねるものの、後続車にとっては非常にまぶしく、夜の視界に悪影響を与える危険な行為とさえ言えます。
もともとは欧州車などを中心に装備されていましたが、徐々に日本車でも装着例が増え、今ではSUVなどを中心にさまざまな車種に装着されるようになりました。
ただし、フロントフォグランプと同じく、必要な場面以外での使用は迷惑となるようです。どのような時に使用するのが正しいのでしょうか。
リアフォグの正式名称は「後部霧灯」です。「保安基準第37条の2」では、「後部霧灯は、霧等により視界が制限されている場合において、自動車の後方にある他の交通からの視認性を向上させ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯火の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」となっています。
保安基準では「光源35W以下、照明部の大きさは140平方cm以下」「数は2個以下」「灯火は赤色であること」など細かい部分も規定されています。
同条例の冒頭では「自動車の後面には、後部霧灯を備えることができる」とだけ表記されているため、国内ではほとんど使用することがなくても、後付けだとしても(基準内であれば)装着すること自体に問題はありません。
しかし、これが無駄なリアフォグ点灯に繋がっていると、元教習所の指導員のI氏は指摘します。
「もともとは1990年に欧州車で装着が義務化され、日本では『寒冷地オプション』などとセットになるような装備でしたが、昨今では、特に悪路や全天候走行できるSUVへの装着例が増えています。
そして装備されていれば使ってみたくなる人もいて、使う必要がない晴天の夜間にフロントのフォグランプやリアフォグを点灯させながら走行するクルマが増えたと言えます」
本来は「保安基準第37条の2」で「霧等により視界が制限されている場合において~」と記載されているように、周囲の状況が掴みにくい濃霧や吹雪などの悪天候時のみの利用に限定された装備となっています。つまり晴天時の夜間は使用NGとも解釈できます。
前走車が見えにくい悪天候でのみ、自車の存在をアピールするために使用するリアフォグですが、適切でないタイミングでリアフォグを点灯させただけで取り締まる規制はないのですが、一種の「あおり運転」と判断される可能性も否定できません。
「近年厳罰化が進むあおり運転への取り締まりで、リアフォグに関しても故意だと認められると『妨害運転罪』に問われることもあります。
その場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に加え、違反点数25点で一発免許取り消し、さらに欠格期間2年(最大5年)が科される恐れもあります」(教習所の元指導員 I氏)
故意かどうかはドライブレコーダーなどの解析で判断されることもあるといい、「うっかり点灯しちゃった」では済まないレベルの違反となりうるということで、注意が必要です。
「規定では35W以下となっていますが、明るさ的にはストップランプ並みと言われていて、強烈な赤い光に後続車がどれだけ迷惑を被っているのか想像がつくでしょう。
本当に必要な場合以外は点灯させないように心がけてほしいです」(教習所の元指導員 I氏)
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一方で、故意ではなく、無意識にリアフォグを点灯したまま走行してしまうことがあるかもしれません。
国産車の場合は、ハンドル奥に備わるウインカーレバーのヘッドライトスイッチにリアフォグのスイッチが組み込まれていることも多く、何かの拍子に点灯させてしまうことも。
リアフォグ点灯時はメーター内に「リアフォグ・マーク」が点灯しています。
半円のようなモノと右側に3本の横線&縦に並線が入ったものですが、前方フォグランプ点灯の表示もされるクルマの場合は、前後どちらが点いているのか一瞬で判断しづらいときがあるかもしれません。
いずれにしても見慣れないマークが点灯していたら、すぐに消灯するようにしましょう。