アメリカのオークションサイトで、1997年式の日産「ステージア260RS」が500万円を超える価格で落札されました。20年以上前のモデルにもかかわらず、これほどのプレミア価値がついたのはなぜなのでしょうか。
■「スカイラインGT-R」の心臓を持つ快速ワゴン!
2024年10月23日、アメリカのオークションサイト「cars & bids」で、日産「ステージア260RS」(WGNC34改型)が3万3750ドル(当日レートで約514万円)で落札されました。
どのような個体なのでしょうか。
この個体を出品したcars & bidsは、カリフォルニア州に本拠を置くオークショニアで、1980年代以降に生産されたクルマを専門としているのが特徴です。
今回落札された「ステージア」は、1996年に日産が発売したステーションワゴンです。
当時の日本は、スバル「レガシィツーリングワゴン」のヒットをきっかけとする空前の“ワゴンブーム”真っただ中。強力なライバルがひしめく激戦区に送り込まれた、日産入魂の一台でした。
最大の魅力は、圧倒的な運動性能の高さです。プラットフォームはR33型「スカイライン」などと共通のもの。
新世代の「RB型」直列6気筒高性能エンジンや、非常に安定感のある前後サスペンションといったメカニズムを受け継いだことで、ステージアはスポーツセダン顔負けの速さと走る楽しさ、ステーションワゴンならではの高い利便性を両立したモデルとなっています。
そんなステージアをベースに、オーテックジャパン(当時/現:日産モータースポーツ&カスタマイズ)が製作したのが、ステージア・オーテックバージョン「260RS」です。
260RSのコンセプトは、ステージアにBCNR33型「スカイラインGT-R」のパワートレインをドッキングするという過激なもの。
GT-Rと同じ2.6リッターDOHCツインターボ「RB26DETT型」エンジンを移植され、最高出力280ps、最大トルク37.5kg-mを発生する本気仕様になっていました。
そのほか、サスペンションには専用品を採用し、ブレーキもイタリア・ブレンボ社製の強力なシステムへと換装。ボディも強化され、限界性能を高めています。
駆動システムもGT-Rと同様の電子制御4WD「アテーサE-TS」を採用し、ミッションは5速MTのみ。外装は迫力ある専用エアロパーツで固めるなど、まさに“ワゴンの皮を被った”R33GT-Rと呼べる硬派なクルマに仕上がっていました。
そして今回出品された260RSは、1997年式の初期モデルです。出品者によると、今年2024年の初めにアメリカ・ニューハンプシャー州へ輸出され、現在の走行距離は約17万6000kmとのことです。
外装は純正に近い良好なコンディションである一方、次世代の「BNR34」型GT-R用18インチアルミホイールへの交換など、雰囲気を盛り上げるカスタムも適宜加えられている様子です。
エンジン関連にはさらに手が入っており、出品情報にはARC製インタークーラーや社外インジェクターのほか、HKS製ターボキットにVカムシステム、「F-CON Vプロ」によるフルコン制御といったチューニング内容が記載されています。
内装回りも追加メーターやMOMO製ステアリング、ニスモ製シフトノブなどが装着され、本格的な仕様を予感させます。
オークションは43件の入札の末、3万3750ドル(当日レートで約514万円)で落札されました。25年以上前のクルマにも関わらず、新車価格の約440万円を大幅に超える落札額に対し、オークションサイトの利用者からは驚きの声のほか、「内容を考えればお買い得だ」という意見など、様々なコメントが寄せられました。
近年、海外では1990年代ごろまでの日本車の人気が高まっています。通称「25年ルール」と呼ばれるアメリカの自動車輸入規制をクリアする人気モデルも増えており、今回のステージア260RSのように、海外に渡るケースが増加していくと予測されます。
ますます広い注目を集める日本の”ちょっと古い”クルマ。今後も要チェックなジャンルです。