高速道路を走っていると、バス停が設けられているのを見かけることがあります。何もない場所に設置されているようにも見えますが、どのようなものなのでしょうか。
■高速道路の運転で気をつけるべきこととは?
たびたび高速道路のバス停で一般車両が停車し、人と待ち合わせをしている光景が見られます。
バス停は路線バスのための場所ですが、このような行為は交通違反に当たらないのでしょうか。
11月に入り、秋の行楽シーズンを迎えています。紅葉狩りやハイキングなどのために、高速道路を利用して遠出するという人もいるでしょう。
その際に気をつけたいのは、普段忘れがちな高速道路における交通ルールやマナーです。
たとえば、高速道路の追越し車線を走り続ける行為は道路交通法第20条に定める「通行帯違反」に当たることから、前方のクルマを追越し終わったら元の車線(走行車線)に戻る必要があります。
また高速道路にはその特性上「最低速度」が設けられており、道路標識や標示で最低速度が示されているときはその速度以上で、示されていないときは時速50キロ以上で走行しなければいけません。
さらに、人と待ち合わせをするといった理由で高速道路のバス停にクルマを駐停車する行為も禁止されています。
これは、道路交通法第75条の8 第1項で次のように定めているためです。
「自動車は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。(条文を一部抜粋)」
つまり高速道路においては危険防止のため停止する場合などを除き、原則として駐停車が禁止されています。
しかし同条では駐停車禁止の例外として、次の4つの行為を挙げています。
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1 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。
2 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき。
3 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき。
4 料金支払いのため料金徴収所において停車するとき。
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上記1はSAやPAなどの駐車場に駐停車するケース、2はクルマの故障や事故などでやむを得ず駐停車するケース。
3は路線バスが人の乗り降りや時間調整のためバス停で駐停車するケース、4は料金所で停車するケースをそれぞれ想定しています。
これらを踏まえると、人との待ち合わせのためバス停にクルマを駐停車する行為は、上記の例外に該当しないため禁止されるというワケです。
なお、このルールを破ると「駐停車禁止場所等違反」として違反点数2点が累積するほか、普通車で反則金1万2000円が科されます。
実際に待ち合わせ行為がおこなわれているのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、SNS上では「高速道路のバス停に一般車が進入して人を乗せているのを見た」「昔の話だけど、父が友達とバス停で待ち合わせしていた」などの声が複数寄せられており、決して珍しい事例ではないといえるでしょう。
また高速道路のバス停入口付近には「車両通行止め」の規制標識と「路線バスを除く」の補助標識をセットで設置するなどして、一般車両の進入を禁止している場所もあります。
もしこのような場所に進入すると「通行禁止違反」に当たるため、バス停があるレーンには入らないよう心がけましょう。
そのほか高速道路の利用で問題視されているのが、複数人がSAやPAなどで待ち合わせてから1台のクルマに相乗りをする行為です。
これによってSAやPAの駐車場に長時間クルマが放置され、本当に必要とする人が駐車できない状況もみられます。
道路法第48条の11では「何人もみだりに自動車専用道路に立ち入り、又は自動車専用道路を自動車による以外の方法により通行してはならない。」と定めており、SAやPAでの待ち合わせ行為がみだりな立入りに該当するおそれがあります。
加えて高速道路各社はSAやPAでの待ち合わせや駐車場への長時間駐車をNGとしており、罰則があるわけではないものの、最低限のマナーとして守るべきといえるでしょう。
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高速道路のバス停付近ではときどき一般車両が待ち合わせをしている光景が見られますが、実はこの行為は交通違反に当たります。
最低速度違反や駐停車禁止のように、高速道路ならではの違反もあるため、利用する際には改めて交通ルールを確認しておきましょう。