見えない「死角」が交通事故の原因となるケースは少なくありません。ドライバーが意識しないうちに存在する死角の原因や予防策とは。
■見えないエリアが危険を生む「クルマの周りに潜む影」
クルマの運転中、ドライバーの視界には実は、「見えていないエリア」が多く存在しています。
これが「死角」です。普段意識していなくても、ふとした瞬間に危険を生む可能性があるこの死角は、交差点や車線変更の際に特に問題になりやすい部分です。
死角が原因で事故が発生するケースが多々あります。
特に、ドライバー目線での視界の届かない場所や、路上に駐車されたクルマによって生じる死角には十分な注意が必要です。
クルマの周辺に潜む「死角」を把握することが安全の第一歩です。
全日本交通安全協会(以下、全安協)が編集・発行する「交通教本」には、危険となりがちな死角について「自動車構造上の死角」「駐停車の死角」「交差点での死角」「カーブが作る死角」の4つを、代表として挙げています。
まず「自動車構造上の死角」ですが、これはピラーやボンネットをはじめ、自動車の構造からくる死角です。これはどうしようもないので、これを補うため、バックミラーやアンダーミラーの取り付けが保安基準で義務付けられています。
つぎに「駐停車の死角」ですが、周囲のクルマで視界が遮られ、そのすぐ裏にいる歩行者などに気づけないというものです。両側にクルマがいたり、連続して駐停車されていたりすると、なおさら死角は大きくなります。さらに、幼児など背の低い歩行者は、大人と違ってさらに死角に隠れがちになります。
「交差点での死角」は、たとえば道路際のビルなどで視界が狭くなり、交差点に差し掛かってはじめて、交差道路にやってくるクルマが視認できるといった状況です。
「カーブが作る死角」も同じで、カーブ内側が崖になっている場合などは、カーブのすぐ先まで対向車がやって来ているかどうか、全くわかりません。危険を避けるため、多くの場合カーブミラーが立っていて、カーブの先が見えるようになっています。
■運転中は死角だらけ どう対策すべき?
このように、死角には様々な種類があります。
クルマの構造や座席位置により、ドライバーから見えづらい場所が生じます。
特に「車両前方のAピラー」や「後方のCピラー付近」は、意識していても見逃しやすいポイントです。
例えば交差点で歩行者や自転車を確認する際、ピラーが視界を遮り、左右の安全確認が甘くなることがあります。
このため、交差点での一時停止や低速での進行が求められます。
また、サイドミラーやルームミラーだけでは見えない「後方左右の死角」もあります。
車線変更時や合流の際には、必ず目視で確認し、ミラーの死角に潜む車両やバイク、自転車に注意しましょう。
都市部や住宅街では、路上に駐車された車が視界を妨げることが頻繁にあります。
駐車車両の陰に歩行者や自転車がいる場合、運転手からは確認が難しくなるため、急に飛び出してくる危険があります。
このようなシチュエーションでは、ゆっくりと進みながら安全確認を行うことが重要です。
また、反対車線に車両が止まっている場合も、対向車の動きに注意しつつ、自車が追い越す際には無理のない距離とタイミングを確保しましょう。
死角を完全に無くすことは難しいですが、近年のクルマはセンサー技術の向上によりレーダーや超音波センサーを用いて車両周辺に障害物の有無を確認することが出来る機能もあります。
このような先進技術・機能も活用し、ミラー調整や目視確認を徹底することでリスクを軽減できます。
交通量の多いエリアや駐車車両が多い地域を走行する時は、普段以上に周囲の動きを意識しながら運転することが大切です。