クルマを運転しているとき緊急車両に遭遇する機会は少なくありません。道を譲るのはマナーと義務どちらなのでしょうか。また、譲る場合はどのように譲れば良いのでしょうか。
■赤灯が点いている緊急車両に道を譲るのは「マナー」ではなく「義務」です!
近年、救急車に道を譲らない人が増えているようですが、緊急車両がサイレンを鳴らしながら近づいてきている場合、道を譲るのはマナーの範囲と義務、どちらなのでしょうか。
インターネットやSNSでも「緊急車両が接近してきた際の行動」に関する質問が見られています。
運転しているときに、サイレンを鳴らしたり、クルマの上に様々な色の灯りを付けて走っているクルマに度々遭遇することがあります。
赤色や黄色、青色の回転灯をつけて走っていますが、その中で赤色の回転灯をつけて、サイレンを鳴らしているものは緊急車両といいます。
緊急車両(緊急自動車)とは、消防車や救急車、パトカーが代表的です。
ですが、その他にも臓器や輸血用血液製剤の搬送車、電気・ガスの応急作業に使用するクルマや、自衛隊用自動車なども緊急車両に含まれます。
また、高速道路ではハイウェイパトロールカーやJAFのレッカー車なども緊急車両で、これは道路交通法第39条に定められています。
このようなクルマが後方から近づいてきた場合、道を譲るのはマナーの範囲なのか、義務なのか、どちらなのでしょうか。
実は、緊急車両がサイレンを鳴らしながら近づいてきている場合、道を譲るという義務があります。
時々、道を譲るのをマナーの範囲内だと思っている人がいるそうですが、もし譲らなければ、進行を妨害したと見なされ、緊急車妨害等違反に該当してしまいます。
また、緊急車両が本線車道に進入するときや本線車道を出るときにその進行を妨げるような行為をした場合には、本線車道緊急車妨害違反になります。
この2つの違反は、交通違反1点、反則金普通車6000円、大型車7000円の罰則があります。
■後方から「緊急車両」が来た! 道を譲る場合、どのように譲るのが良い?
それでは、緊急車両に道を譲る場合、どのようにして譲るのがよいのでしょうか。
警視庁の交通相談コーナーの担当者は次のように話します。
「高速道路の場合、2〜3車線ある道路では、一番右端の道路が追越車線です。
自分が追越車線にいる場合は、走行車線に移動してください。そして、ハザードを炊きながら一時停止し、緊急車両が通過するのを待ちます。
一般道の場合も同様で、2〜3車線ある場合は走行車線に、1車線のみの場合は左によって一時停止をします。
ただし、一般道には交差点が存在します。
もしも交差点やその付近にいる場合、交差点内では停止せずに、交差点を避けた上で左側によって一時停止をしてください」
車通りが少ない場合やスムーズに流れている場合は、簡単に左に寄れますが、渋滞している場合はどのようにするのがよいのでしょうか。
前出の担当者は次のように話します。
「渋滞している場合、無理に左に寄って待機しようとすると、接触事故が起きてしまう可能性があるので、無理をする必要はないです。
ただ、1車線の道路で自分が走行している方面が混雑していても、右側が空いている場合は逆走したり、追い越し禁止でも追い越すこともあるので、右側に寄らないようにしてください」
右側走行や追い越し禁止場所での追い越しは通常違反になりますが、緊急車両の場合、道路交通法の特例を受けることができます。
このほかにも、停止義務の免除や指定横断禁止等に従わない通行が認められているため、違反しているように見えても違反ではないのです。
近年ではサイレンが騒音問題となり、音の大きさに工夫がされている一方で、クルマの遮音性が高まり、サイレンはわかるけどどこから来るのかわからないという意見もあります。
もしもサイレンのような音が聞こえたら、車内の音楽やラジオを止めて、窓を開けて周囲を確認し、どこから緊急車両がきても対応できるような運転をすると、対応しやすいかもしれません。
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緊急車両は、救急車やパトカーだけでなく、民間の車両の場合もあります。
緊急車両に道を譲るのはマナーではなく義務です。そのため、サイレンが聞こえたらすぐに道を譲れるような行動をしておくことが大切です。