2025年1月に「TOKYO AUTO SALON 2025(東京オートサロン2025)」が開催されます。例年ユニークなカスタムカーが多数展示されてきたなかで、2023年に披露された斬新な「サバンナGT(RX-3)」が注目を集めていました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■往年の名車復活か!? 「屋根なしサバンナ」の正体とは?
2025年1月10日から12日に、幕張メッセ(千葉市美浜区)にて「TOKYO AUTO SALON 2025(東京オートサロン2025)」が開催されます。
このイベントは日本最大級のチューニングカー・カスタムカーの祭典で、例年自動車メーカーやカスタムパーツメーカーが最新のカスタムカーや技術を披露する場として、クルマ好きを中心に人気を博しています。
そのカスタムカーのなかには、昔の名車を現代に蘇らせたモデルも過去に出展されており、特に「東京オートサロン2023」で展示された斬新な「サバンナGT(RX-3)」が、多くの注目を集めました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
サバンナGTは1972年にサバンナの高性能モデルとして登場しました。
1978年に生産を終了して以降も、多くの旧車ファンの心に残る存在です。
ロータリーエンジンを搭載し、優れた走行性能と独特のスタイリングで高い人気を博したこのクルマは、1970年代のマツダを象徴するモデルの1つでした。
そんなサバンナGTですが、東京オートサロン2023では当時設定がなかった屋根なしのサバンナが展示され、多くの注目を集めました。
そのクルマの正体は日本自動車大学校(NATS)の学生たちが手掛けた「RX-Cabriolet(RXカブリオレ)」。
このカスタムカーはマツダ「ロードスター(ND型)」をベースに製作され、かつての名車「サバンナGT(RX-3)」を現代に甦らせることを目指してデザインされました。
RXカブリオレは、丸目4灯ヘッドライトやメッシュグリルといった特徴的なフロントデザインを採用し、サバンナGTを彷彿とさせるスタイルに仕上げられています。
また、ボディカラーには鮮やかなイエローとグリーンを組み合わせたカラーリングが施され、見る者の視線を引きつけます。
さらに、リアにはマツダ「グランドファミリア(4ドア)」のテールランプが流用されるなど、随所にマツダの過去の名車への敬意が込められています。
ボディサイズ全長約4300mm×全幅約1800mmと、ベースとなるロードスター(全長3915mm×全幅1735mm)よりもひと回り大きくなっており、迫力のあるフォルムを実現。
NATSの学生たちは、このプロジェクトを通じて「現代のクルマのメンテナンス性や維持費の手軽さを保ちながら、旧車の魅力的なルックスを持つクルマ」を目指したといいます。
実際にサバンナ世代の中古車価格は高騰しているのにくわえて、旧車の維持費用も高く、特に若い世代にとって非常に大きなハードルとなっています。
そんな旧車に対する憧れと現実にある高い敷居を乗り越えられるのではないかと考え、RXカブリオレ製作に至ったそうです。
なお、製作過程では多くの試行錯誤があったといいます。
特にロードスターの滑らかなボディラインと、サバンナGTのシャープで角張ったデザインを融合させることに苦労したとのこと。
新規の鉄板パネルを製作し、既存のフェンダーやボディに合わせる工程では、左右対称性を保ちながら、曲面を滑らかに仕上げる板金作業が特に難しかったようです。
旧車の魂を現代の技術で再現したRXカブリオレは単なるカスタムカーに留まらず、未来へ向けて受け継がれるマツダ車の遺産へのオマージュであり、若い世代が旧車文化に対して示した新たな挑戦そのものでした。