来る2025年10月10日から12日まで「東京オートサロン2025」が開催予定ですが、2017年に行われた「東京オートサロン2017」には、ホンダが「T880」を公開していました。どのようなモデルだったのでしょうか。
■こんな軽トラが欲しかった…!「T880」がスゴイ
ここのところ人気を集めている軽トラック。維持費の安さはもちろんのこと、軽自動車枠という限られたサイズの中で最大限荷物が積めるように考え抜かれたパッケージングに、日本国内だけでなく海外からも熱視線を集めています。
そんな軽トラックをベースとしたカスタムカーは多く存在していますが、2017年の東京オートサロンに展示された「T880」というモデルは、今見ても非常に魅力的に映る1台でした。
このT880は、ホンダ車のアクセサリーなどを手掛けるホンダアクセスの有志が自発的に集ってクルマを作り上げる「N Lab.(Nラボ)」が手掛けたモデル。
ベースとなったのはホンダの軽トラックであり、軽トラックとしては稀有なMRレイアウトを持つ「アクティトラック」でした。
Tで始まる車名を持つ軽トラックといえば、ホンダ初の4輪車である「T360」が知られるところですが、このモデルはその由緒ある名前を受け継いでおり、880という数字は、搭載されるエンジンの馬力を排気量に換算すると880ccクラスのものであることを示しています。
そんなT880の心臓部は軽自動車用の660ccエンジンですが、アクティに搭載されているものではなく、軽ワンボックス「バモス」に搭載されていた「E07Z」型ターボエンジンに換装し、ハイオク仕様にファインチューニング。
組み合わされるトランスミッションは、同じくホンダのMRスポーツカーである「ビート」用のものを使用し、スポーティな走りが楽しめるようになっている点も注目です。
エクステリアはベースのアクティの面影はほとんどなく、150mmほどルーフを下げたチョップドルーフが印象的。
フロントマスクはレトロな雰囲気のある丸目ヘッドライトとし、ボディサイドはキャビンから一体のデザインとしたことで、荷台は3方開からリア部だけの1方開となっています。
このリア部のあおりは、通常の軽トラックのように下ヒンジで開けられるだけでなく、横ヒンジで観音開きも可能。
これは荷台にバイクを積むときにスロープを直接荷台にかけられるように考えられていて、荷台の隔壁中央部にはバイクのフロントタイヤを収める窪みも用意されているのは、さすがバイクも手掛けるホンダといったところ。
フェンダーは片側65mmワイド化がなされて軽自動車枠からは飛び出してしまっているものの、その甲斐あって7.5Jインセット+3というワイルドなRSワタナベの14インチホイールを飲み込んで迫力も満点。
ブレーキもフロントに対向4ピストンキャリパーを装着し、リアもドラムから「S660」用のディスクブレーキに変更して、ストッピングパワーも必要十分。まさにスポーツトラックといった仕上がりとなっていました。
さすがにこのままの市販化は難しいということで、現在までリリースの予定は聞こえてきませんが、この車両自体はサーキットでのメディア向け試乗会も実施するほどの完成度を誇っており、メカニズム面のチューニングであれば真似することも不可能ではないかもしれません。