トヨタ カスタマイジング&ディベロップメントは、2024年11月25日にこれまで社内にあったモータースポーツ事業を外に出した新設会社を設立すると発表しました。そこにはどのような狙いがあったのでしょうか。
■TCDと分かれたTGR-Dとは? ラリージャパンの会場で豊田会長が語った
2024年11月25日にトヨタ カスタマイジング&ディベロップメント(以下TCD)は、これまで社内にあったモータースポーツ事業を外に出した新設会社を設立すると発表しました。
ここには、どのような背景があったのでしょうか。
TCDは、救急車などの特装車やモデリスタ、TRDなどのカスタマイズ用品ブランド、そしてモータースポーツといった多様な業務を展開していました。
今回、特装車とカスタマイズ用品事業はそのままTCDに残し、モータースポーツ事業を独立させたトヨタ ガズーレーシング ディベロップメント(以下TGR-D)を2024年12月25日に設立します。
なお会社分割・新会社設立の目的について、TCDは以下のように説明しています。
「今後は、『用品・特装事業』を分割会社であるTCDに、『モータースポーツ事業』を新設会社であるTGR-Dに集約し、それぞれの会社の特化した事業軸として、明確にしてまいります。
トヨタにおけるバリューチェーンビジネスとモータースポーツビジネスを、各々緊密な連携で支えることで、人材育成と商品・技術開発を進め、オールトヨタの価値創造力と競争力強化を図ってまいります。
また、新設会社のTGR-Dは、当社が長年にわたり、レーシングカーの開発、レースイベントの企画・運営で培ったノウハウを最大限活かし、トヨタと共にモータースポーツを起点とした『もっといいクルマづくり』の強化・発展に寄与できるものと考えております。
モータースポーツ事業を事業軸として注力することで、トヨタのモータースポーツ車両や市販車の開発にも貢献していきます」
このような目的で会社分割が行われました。なおTCDは神奈川県横浜市に拠点を置き、資本金17億円、従業員数957名(TGR-Dへの出向者含む)という体制です。
対して、新たなTGR-DはTRD本部が置かれている神奈川県足柄上郡に拠点を構え、前述の957名から235名が移る予定だと言います。
このような動きや狙いについて、トヨタの豊田章男会長は次のように話しています。
「元々よく一緒にやっていたなと思います。特装車ビジネスと用品ビジネスとモータースポーツ。
トヨタもそうですが、『モータースポーツを起点としたもっと良いクルマづくり』として、エンジニアの派遣は多いです。
ただレースの現場に慣れて元の部署に戻ると普通の仕事に戻るわけです。
その違いはモータースポーツでは『クルマ全体で見ているか』ですが、普通の仕事では『部分的に見ているか』という違いがあります。
やっぱりクルマ会社の場合、『クルマを全体で見ている』人を育てていかないとまずいと思います。
ただ量産車でそれをやるのは大変なので、モータースポーツの現場で人材育成をやっていく。
あと、モータースポーツと普通の仕事を行ったり来たりするのも大変なので、『ずっとやりたい』という人の声を聞いてあげるために、今回特装車・用品のTCDとモータースポーツのTGR-Dに分けました」
またTOYOTA GAZOO Racing Companyの高橋智也プレジデントは今回の狙いについて、「今後一緒になりたいと思います。TGR-Dはどっちかというとレース屋でした。それをTGRの『モータースポーツを起点としたもっと良いクルマづくり』と融合していこうというのが今回の狙いです」と語っていました。
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今後、これらの動きによりどのような人材が育っていくのか、TGR-Dに注目です。