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トヨタ新型「クラウン“ワゴン”」いつ登場? 初公開から2年経過もなぜ未発売? 「なかなか発売されないクルマ」が増えたワケとは

くるまのニュース 2024年11月27日 11時45分

トヨタ新型「クラウンエステート」は2022年7月に世界初公開されましたが、2年以上経過した今でも発売されていません。ほかにも情報公開から発売されるまで長時間かかるクルマが多く存在していますが、一体どのような事情があるのでしょうか。

■新型「クラウンエステート」なぜ発売されない?

 最近は新型車が公表されてから発売されるまでに、長い時間を要する傾向が見られます。
 
 例えば、3列シートSUVのマツダ「CX-80」は、2024年4月に欧州仕様が初公開されて、国内で販売を開始したのは同年10月でした。

 ワゴンSUVのトヨタ「クラウンエステート」は、2022年7月にコンセプトや外観を公表しながら、2年以上を経過した2024年11月現在でも発売されていません。

 トヨタの販売店スタッフは次のようにいいます。

「クラウンエステートは、以前は2023年中に発売する予定でした。それが認証不正問題などで2024年に先送りにされ、さらに遅れています。

 現時点では、発売は2025年の1月から3月頃だと思われます」

 そうなるとクラウンエステートは、外観を公表してから約2年半を経過して発売されることになるのです。

 スバル「フォレスター」もまだ発売されていません。

6代目となる新型フォレスターの世界初公開は2023年11月で、2024年4月に北米で発売されました。

 しかし日本仕様は未発表で、スバルの販売店では「メーカーから発売などの日程は聞いていませんが、おそらく2025年4月頃でしょう」といいます。

 外観の公開から日本における発売まで、1年半を要しているのです。

 ホンダでも発売まで長くかかっているモデルがあり、それが「プレリュード」です。

「ジャパンモビリティショー2023」に「プレリュードコンセプト」が出展されたのですが、これはかつてのプレリュードを思い出させるクーペです。

 ジャパンモビリティショー2023の後には、赤くペイントされたプレリュードのショーモデルも披露されています。

 しかし1年以上を経過した2024年11月時点で、プレリュードは海外でも発売されていません。ホンダの販売店でも「今のところ発売予定はメーカーから聞いていません」と返答しています。

 その一方でホンダの関係者は次のようにコメント。

「プレリュードは2025年中には日本でも登場すると思います。

『シビック』と同様のe:HEV(ハイブリッド)を搭載して、価格は500万円前後でしょう。

 少々高いですが、クルマ好きのお客様が、プレリュードと『シビックタイプR』を同じ価格帯で選べるように考えています」

■「なかなか発売されないクルマ」どんな事情がある

 それにしても、なぜ概要の公表から発売までに、長い時間を要するのでしょうか。この背景には複数の理由があります。

 まずライバル車の購入を控えさせることです。

 上級SUVの購入を考えているユーザーがCX-80やクラウンエステートの画像を見ると、「このクルマが登場してから決めようか」と考えることもあるでしょう。

 ライバル車の購入を牽制する目的で、先に披露します。

 ただしフォレスターのように、現行型を発売している最中に次期型を公表すると、現行型を売りにくくなる心配もあります。必ずしもメリットばかりではありません。

北米で先行発売されたスバル新型「フォレスター」

 メーカーの商品企画担当者と発売タイミングの話をすると、一種のもどかしさを感じることもあります。

 新型コロナウイルスの影響で半導体や部品供給が滞った時は「発売したくてもできない。そこでプロトタイプだけでも披露してアピールしたい」という話が聞かれました。

 前出のクラウンエステートで述べた認証不正問題もあります。

 例えばダイハツは、2023年5月中旬に販売店を通じて新型「ムーヴ」の価格を明らかにし、予約受注を開始しました。

 しかし認証不正問題で発売が延期され、販売店では「次期ムーヴの受注でお客様から預かった予約金も返金した」と述べています。

 そして次期ムーヴの発売スケジュールを販売店に尋ねると「一度決まったが延期され、直近では2025年6月頃になりそう」とのこと。認証不正問題も発売を遅らせる原因になっています。

 ほかにも理由があり、それは世界同時発売の難しさです。

 今の日本車は、軽自動車や一部のミニバンやコンパクトカーを除くと、大半の車種が海外でも販売されます。

 そして日本メーカーの多くは、世界販売台数の80%以上を海外で売っています。従って日本車なのに、日本の販売比率が10%以下の車種もあるのです。

 そして今の日本車は海外の工場でも生産され、販売する地域によって、パワーユニットや足まわりの設定、内外装の細かなデザインが異なります。

 そうなると同じ車種でも、世界中で同時に発売するのは困難で、優先順位を付けます。日本の販売比率が10%以下であれば、国内の発売は後回しになるのです。

 それでも、先代のホンダ「アコード」のように、北米の発表から2年半も経てから国内で発売したのでは、時間差が長すぎます。

 アコードはフルモデルチェンジを5年から6年ごとに繰り返しており、2年半も遅れると、生産期間の半分に達するからです。

 この時のアコードは、海外では新型、国内では先代型を販売していましたが、今はフルモデルチェンジを行うと安全性が大きく進化します。

 日本のメーカーが、国内において、海外よりも安全性の劣ったクルマを長期間にわたり販売してはいけません。

 安全確保の意味でも、海外と国内の発売時期はなるべく短く抑えて欲しいです。

 また発売時期が遅れると、ユーザーを確保する狙いもあり、予約受注を早い時期に開始します。

 この時には試乗車や展示車もなく、販売店では写真と簡単な資料を使って商談や契約を行うのですが、ユーザー側は購入に値するクルマなのか、見極めが難しいという問題もあります。

 不安を感じるなら、発売後に試乗して契約すれば良いですが、予約受注の期間が長いと車種によっては納期が長引きます。つまり「納得して買うか、長い納車待ちを我慢するか」という選択を迫られるのです。

 この点について販売店からは「受注の開始前に、せめてセールスマンにはテストコースなどで試乗させて欲しい。そうすれば自信を持って新型車を説明できて、お客様のニーズに応じて新型に乗り替えるか、今のクルマの車検を取って乗り続けるかをアドバイスできる」といいます。

※ ※ ※

 車種の概要を公表してから発売するまでの期間は、なるべく短い方が好ましいです。それが無理なら、販売会社の意向を汲み取って欲しいです。

 日頃からユーザーに接している販売会社は、メーカー以上に、私たち消費者の気持ちを深く理解しているからです。

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