昨年開催されたジャパンモビリティショー2023(以下JMS2023)で世界初公開され、近い将来の発売が期待されているホンダ新型「プレリュード コンセプト」。現代に復活する新型は、どのようなクルマになるのでしょうか。
■新しいモチーフの中に歴代モデルの面影がちりばめられた1台
昨年のコンセプトモデル公開から約1年、2020年代半ばでの発売へ期待が膨らむホンダの新型「プレリュード」。
1980年代に一世を風靡した「デートカー」は、令和の現代にどのようなモデルとして復活するのでしょうか。
“前奏曲”を意味するプレリュードという車名は、1980年代ごろに青春を過ごした人々にとっては非常に懐かしい響きでしょう。
初代モデルは1978年のデビュー。国産初の「電動スライディングルーフ」や、スピードメーターとタコメーターを同心円状にレイアウトした「集中ターゲットメーター」といったユニークな装備を採用するFFのスペシャルティカーでした。
プレリュードの人気に本格的に火が付いたのは、1982年登場の2代目から。特徴的なリトラクタブルヘッドライトと、フロントサスペンションに「ダブルウィッシュボーン式」を採用することで、当時のFF車としては異例なほど低いボンネットを持つ、スタイリッシュなデザインを実現しました。
2代目プレリュードは若い世代を中心に大ヒットを飛ばし、後年語られるデートカーという新しい車のジャンルを確立。
続く3代目も、世界初の“4輪操舵”システムである「ホンダ4WS」を採用するなど、独自の先進性をアピール。バブル景気も味方に付けて、人気を博しました。
しかし、1991年に登場した4代目からは、バブル経済の崩壊や折からのRVブームの到来により人気が低迷。続く5代目でも人気回復には至らず、プレリュードは2001年に惜しまれつつも生産終了となりました。
そんな往年のビッグネームが復活するということで注目されたのが、昨年10月の「ジャパンモビリティショー2023(JMS2023)」で世界初お披露目された「プレリュード コンセプト」です。
コンセプトモデルといっても、その完成度は「今すぐ発売できるのではないか」と思わせるほど高く、来場者の熱い視線を集めました。
エクステリアのモチーフは、空を滑空する「グライダー」。強く傾斜したリアウインドウや、中央が低くせり出したフロントノーズなど、ホンダのF1マシンも連想させるような、非常に前進感の強いデザインとなっています。
フロントノーズ先端には横一文字タイプの細いライトが伸びます。よく見ると全く違うモチーフですが、どことなく4代目プレリュードのヘッドライト回りを思い起こさせる、独特な造形です。
リアに掲げられた車名エンブレムも、4代目が唯一採用したのと同じ筆記体タイプ。一方、テールライトには絶大な人気を誇った2代目・3代目と同じ横一文字のデザインを採用しています。
新型プレリュードのデザインは、新しい時代のクーペデザインを提案しつつ、往年の歴代モデルの面影も随所に感じる、見どころの多い仕上がりとなっています。
プレリュード コンセプトの出来栄えについて、本田技研工業 取締役 代表執行役社長 三部 敏宏氏はJMS2023で、
「(新型プレリュードは)本格的な電動化時代へ“操る喜び”を継承する、ホンダ不変のスポーツマインドを体現するモデルの先駆けとなります。
どこまでも行きたくなる気持ちよさと、非日常のときめきを感じさせてくれる、スペシャリティスポーツモデルです」とコメントし、自信を表しました。
新しいホンダの始まりを告げる“前奏曲”が日本の道路に響く日は、もう近くまで迫っていると言えるでしょう。