マツダは2024年10月10日に新型SUV「CX-80」を発売しましたが、トヨタにも同名のクルマが存在しました。
■トヨタ版「CX-80」は4人乗り!
「CX-80」といえば、マツダが2024年10月10日に発売した新型SUVを思い浮かべるでしょう。
しかし、今から45年前の1979年に、トヨタが同じ「CX-80」の車名を付けたクルマを発表していたのです。
トヨタ版のCX-80は、1979年に開催された「第23回東京モーターショー」で展示された、4人乗りの小型車のコンセプトカー。
同モーターショーのテーマは、「80年代の豊かさへ…せかいを結ぶくるまたち」となっており、ブースを出展した各メーカーからは、省エネや省資源に関する技術を用いた「次世代を担うクルマ」が提案されました。
そしてトヨタも、このテーマに即した「省資源・省エネルギーに対する技術力」を活用したクルマを開発。
その中の一台が、「未来のシティーカー」を標榜して開発された4シーターのコンパクトカー、CX-80でした。
このCX-80は「1980年代の都市生活において求められるクルマ」がコンセプトで、都市部でも快適に運転できるよう、ボディサイズは全長3500mm×全幅1550mm×全高1250mm、ホイールベースは2300mmと、極めてコンパクトな車体を採用。
全長と全幅だけを見れば、最近のトヨタ車における「パッソ」に近い値となっています。
また、全体的に直線で構成されたシャープなスタイリングもCX-80の特徴。
ボンネットの上に積むように配置されるヘッドライトや、ガラス面を多く採用したキャビンも未来的で目を引くポイントです。
くわえて開口部の大きなドアや、外が見えるように設置されたサイドのスリットなど、当時のクルマには見られない工夫が取り入れられており、より「未来のクルマ感」を醸し出していました。
室内はシンプルながらも高品質・高機能にまとめられており、デジタルメーターやプッシュボタン式のATセレクターレバーといった、先進的な機能を装備。
とくにデジタルメーターは、ステアリングホイールの中心に置くという、他にはない装備方法が用いられていました。
この内装に搭載される4つのシートは、珍しいパイプフレームタイプを採用。
スタイリッシュなデザインのシートになっており、先進的な装備と相まってラグジュアリーな雰囲気を高めていました。
このように未来のシティーカーとして出展されたCX-80ですが、残念ながら市販化はされませんでした。
しかし、同車の開発によって培われた「都市部でも快適に運転できるクルマ」というアイデアは、後に登場するトヨタのコンパクトカーの礎になったことでしょう。