ホンダ車のカスタマイズパーツを手掛ける「無限」は、2007年に「シビックタイプR」のコンプリートカーを発売しました。「MUGEN RR」ですが、どのようなモデルだったでしょうか。
■「FD2型」をカスタマイズした“究極のシビックタイプR”
「シビックタイプR」は、ホンダのスポーツチューニングブランド「タイプR」シリーズのひとつです。
現在は6代目の「FL型」が販売されていますが、3代目の「FD2型」に、「無限」がカスタムを手掛けた“幻のコンプリートカー”がありました。
無限が手掛けたFD2型をベースとするコンプリートカーが「Honda CIVIC MUGEN RR(以下、MUGEN RR/ムゲン ダブルアール)」で、2007年に300台限定で発売されました。
ベースとなったFD2型は、シリーズで初めて4ドアセダンタイプのボディを採用。5ナンバーから3ナンバーへと変更が施されています。
エンジンは、最高出力225馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHC i-VTEC「K20A型」を搭載しており、シリーズ初のプッシュスタートシステムを用いているのも特徴でした。
無限は、「サーキット走行はもとより、公道でのドライビングプレジャーを提供するクルマ」を目指し、FD2型のエンジンや空力面、運動性能をチューニング。こうして生まれたのがMUGEN RRです。
MUGEN RRは無限が手掛ける初めてのコンプリートカーということもあり、同社がそれまでにレース活動を行う中で培ってきたノウハウや技術が惜しみなく詰め込まれました。
例えばK20A型をベースとするエンジンは、カムシャフトを専用のものに変更。高回転用カムの形状を変え、専用のバルブスプリングと組み合わせることで、吸排気効率をアップさせています。
加えて吸排気系全体の見直しを行うことで、最高出力は225馬力から240馬力へとアップしました。トランスミッションはベースと同じく6速MTを搭載します。
足回りでは、コーナリングパフォーマンスの向上のために専用サスペンションを装着。ブレーキも逆ベンチ構造のブレーキローターを採用するなど、高い制動力を発揮するチューニングが施されました。
ベースよりもシャープな印象を受けるエクステリアは、カーボンやアルミ素材のパーツを用いることで軽量化に加えて空力性能もアップ。専用セミバケットシートを配したインテリアも特徴のひとつです。
MUGEN RRは、これら数々のチューニングを「1台1台手作業で架装する」というこだわりの一台でした。
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MUGEN RRの販売価格(消費税5%込)は477万7500円でしたが、発売開始から注文が殺到し、限定300台のオーダーがわずか10分ほどで終了しました。
現在も中古市場に出ることは稀で、新車販売価格以上の値段が付けられることは間違いないといわれています。