マツダはかつて「ルーチェ」というフラッグシップとしてラインナップされた高級セダンを展開していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■マツダにも高級セダンあった! ロータリー搭載モデルもある「ルーチェ」とは?
2024年11月時点でのマツダのセダンといえば「MAZDA3 SEDAN」のみの展開となっていますが、かつては「ファミリア」や「カペラ」、「クロノス」など、複数車種の4ドアセダンを販売していました。
そのなかには「ルーチェ」という、マツダのフラッグシップとしてラインナップされた高級セダンがあったのをご存じでしょうか。
ルーチェは1966年から1995年にかけて、5代に渡って販売されたセダンです。
初代が登場したのは1966年。
1963年に発売された「ファミリアセダン」に次ぐ普通乗用車として市場に投入されました。
初代ルーチェのベースデザインはイタリアのデザイン会社「ベルトーネ」が担当。
そのデザインを基に、マツダのデザイナーが「マツダならではのエッセンス」を加え、流麗で美しいモダンなスタイリングに仕上げました。
初代の最大の特徴はフロント3人掛けの6人乗りという点にあります。
そもそも6人乗りであることは当時の1.5リッタークラスのセダンでは珍しく、画期的なシート構成でした。
また、派生モデルとして2人乗りの「ルーチェロータリークーペ」も登場しました。
その後1972年に登場した2代目は、初代とは異なりややノーズが長いアメリカンなテイストへと変更。
1977年にデビューした3代目は、直線で構成されたシンプルかつ存在感のあるクルマへと変化しました。
さらに1981年の4代目は、ロータリーターボを世界で初めて搭載したモデルを展開するなど、高い走行性能を誇るクルマでした。
そして1986年のフルモデルチェンジで、ルーチェは本格的な高級セダンへと進化。
全長4690mm-4820mm×全幅1695mm-1705mm×全高1395mm-1425mmのボディは、直線を中心とするオーソドックスなセダンタイプのデザインへとアップデートされ、欧州のセダンのような高級感と貫禄のあるスタイルになりました。
パワートレインは、性能の異なる2種類の2.0リッター自然吸気エンジンと、同じく2.0リッターのターボエンジンモデル、654cc×2ロータリーターボエンジンを搭載したモデルの全4タイプがラインナップ。
このうち、最も出力が高かったのはロータリーターボエンジンモデルで、最高出力は180psを発揮する高性能ユニットでした。
また、のちに3.0リッターモデルを追加してエンジンをパワーアップさせるなどの、マイナーチェンジを行いつつ1995年まで販売されました。
しかし、1990年代はセダン人気の下降が著しかったこともあり販売台数は伸びず、フラッグシップではあるものの、累計販売台数は12万台ほどに留まったとされています。
そんなルーチェが幕を閉じて以降、マツダでは高級セダンのカテゴリーに配当するモデルは登場していません。
近年は特にSUVモデルがラインナップのほとんどを占めていることからも、マツダが高級セダンを販売していた歴史があることに驚くユーザーもいることでしょう。