国土交通省 福井河川国道事務所は2024年11月28日、福井県と岐阜県を信号ゼロでつなぐ「中部縦貫道」大野油坂道路について、最終工区の工事状況を発表しました。
■最後の最後で大きなトラブルが
国土交通省 福井河川国道事務所は2024年11月28日、福井県と岐阜県を信号ゼロでつなぐ「中部縦貫道」大野油坂道路について、最終工区の工事状況を発表しました。
これは「第9回 中部縦貫自動車道事業費等監理会議」のなかで明らかにされたものです。
中部縦貫道は、福井市から岐阜の郡上市・高山市を経て長野県松本市まで、これまで走りにくい山道しかなかったところに、高規格な東西軸道路を整備するものです。信号ゼロでつなぎ、スムーズな移動を可能にします。
さて、その中で大野油坂道路は、福井県大野市から県境の「油坂峠道路」まで、国道158号のバイパスとなるものです。国道158号は狭隘、急勾配、急カーブの山道が果てしなく続き、ドライバーを疲弊させてきました。そのため観光ルートにも組み込みにくく、トラックも走りにくいため、両県間の回遊性・輸送力の弱さが課題となっていました。
ここが開通すれば、北陸道と東海北陸道がまっすぐつながることになり、さらに高山市内までも信号ゼロ・急カーブ急勾配ゼロで到達可能になります。旅行プランも大幅に可能性が広がることが期待されます。
そんな大野油坂道路も、2023年10月に九頭竜ICまで開通し、あと1工区を残すのみとなりました。すでに川合トンネル(長さ2550m)・新長野トンネル(2240m)・上半原トンネル(1146m)・東市布トンネル(1161m)が貫通済み。残る大谷トンネル(2475m)も進捗率93%で、貫通が間近です。
いっぽう、油坂IC付近の「新子馬巣谷橋(仮)」では地質条件の複雑さなどで工事が難航。開通時期は「2026年春」とされていたのが、今年9月に「開通見通しをいったん白紙にする」と発表されていました。
今回の報告では、地すべりや地山引き込み沈下などが懸念されている一部橋脚付近について、新たな対策工法を選定していくことが決定。
「来年早々に具体的な対策方針を提示」したうえで、気になる開通時期については「3月末までをめどにお知らせする予定」としています。
さらに貫通が近い大谷トンネルでも、引き続き「地盤の状況が悪く難航している」との報告もあったといいます。
福井県は「工事の安全確保を前提に、県内全線開通を一日も早く実現していただきたい」と要請しています。