トヨタガズーレーシングは、現行「プリウス(60系)」をベースにしたレーシングマシンコンセプトモデルを出していました。それはどのようなクルマだったのでしょうか。
■まさかの爆速プリウス?
2023年1月にフルモデルチェンジした現行型の5代目「プリウス(60系)」は、斬新なスタイルと卓越した走行性能と環境性能を誇り、高い人気を博し続けています。また、スポーティな外観と性能から、モータースポーツの分野からも注目を集めています。
トヨタは、マツダと日本政府観光局が2023年6月に共同開催した「ル・マン24時間レース100周年大会 Manufacturers’ Village(マニュファクチャーズ ビレッジ)において「Japan. Endless Discovery.(ジャパン・エンドレス ディスカバリー)」を出展し、ル・マンへの感謝を表したコンセプトモデル「Prius 24h Le Mans Centennial GR Edition(プリウス ル・マン24時間レース100周年 GRエディション:以下”プリウス GRエディション”)」を公開していました。
ジャパン・エンドレス ディスカバリーは、1991年に開催されたル・マン24時間レース(以下”ル・マン”)で、国産車メーカーとして初の総合優勝を飾ったマツダと、現在のル・マンで国産車メーカーとして唯一参戦し5連覇を記録しているトヨタのレーシング部門「TOYOA GAZOO Racing(以下”TGR”)」が共同出展したものとなっていました。
この出展では、日本の自動車メーカーのル・マンをはじめとするモータースポーツ関係技術の紹介や、電動化および水素エネルギー、カーボンニュートラル燃料に関する技術の紹介が行われました。
また、モータースポーツを舞台とした漫画「capeta」で人気を博している漫画家、 曽田正人氏が、日本のカルチャーを代表する”MANGA”を用いて、日本の風景、文化およびマツダとトヨタのル・マンでの歴史をブース壁面装飾で表現していました。
■ル・マン参戦マシンのハイブリッド技術をプリウスに落とし込む?
TGRは、2012年からFIA世界耐久選手権(WEC)やル・マンでハイブリッドシステム技術を磨き、プリウスをはじめとするトヨタのハイブリッド車に活用してきています。
ジャパン・エンドレス ディスカバリーに出展したプリウス GRエディションは、WECやル・マンに参戦しているレースマシン「GR010 HYBIRD」からインスパイアされた専用のアルミホイールや、エアロパーツを装着し、サーキットで優れた走行性能を発揮するコンセプトモデルとなっています。
また、カラーリングもGR010 HYBIRDのブラックとホワイトの2トーンを基調とし、精悍な印象と高いパフォーマンスを想起させるデザインでまとめていました。
専用エアロパーツは、ハニカム形状の大開口フロントロアグリルにリップスポイラー、その両サイド上方に整流効果を高める2枚のフィンを備え、24時間を戦うル・マンを意識した夜間視認性を向上させる片側4灯、計8灯のマルチヘッドランプをバンパー下部両サイドに配しています。
ボディ側方は、サイドスカートと黒く縁取りされたクラッディングを装備し、ワイドトレッド化した足回りに235/50R/18インチタイヤが非常に映えるスタイルとなっています。また、ホイールは空力性能を向上したマットブラックで足回りを引き締めています。
ボディ後方では、ブラックの大型リアウイングが目を引きます。ウイングの両サイドのフィンには、TGRのカラーのレッドが差し色で加えられています。リアエンドには、大胆にブラックアウトしたディフューザーを覗かせる空力性能を向上させたロアバンパーを備えています。
同モデルの市販化については、現在まで正式な発表はありませんが、TGRは今後もモータースポーツを通じて、サスティナブルなモビリティ社会の実現に向けた技術開発を続けていくとしています。