トヨタ「クラウン」のSUV化が話題となりましたが、実は日産もすでに似たような手法を「スカイライン」に取り入れていました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■スカイラインをSUV化したクルマとは?
近年世界的にSUVへの人気が高まり、日本の高級セダンの代名詞でもあったトヨタ「クラウン」でさえ、2022年にSUVの派生モデルが登場し、賛否の意見が分かれています。
しかしクラウンがSUV化するおよそ13年前に、クーペやスポーツセダンで展開していたとある有名モデルがすでにSUV化していたことはご存じでしょうか。
そのモデルとは日産「スカイライン」で、「スカイラインクロスオーバー」という名前で展開していました。
スカイラインは日産を代表するモデルの1つで、現在同社が販売している唯一のセダンです。
1957年から展開されている長い歴史があり、初代モデルは「プリンススカイライン」と名づけられ、クラシックカーのようなエクステリアで当時は珍しかったスポーツカーのように走れるセダンであり、クルマ好きにとって憧れの存在でした。
そんななか、スカイラインクロスオーバーは12代目スカイラインの派生モデルとして登場。
ボディサイズは全長4635mm×全幅1800mm×全高1600mmで、ミドルサイズSUVにあたります。
SUV化してもスカイラインらしさは失われないよう、クーペのフォルム感は生かしつつアクティブなSUVらしさが取り入れられており強さのなかに美しさを融合。
ただスカイラインらしさが感じられにくいと思われる理由の1つに、スカイラインの特徴である丸形のテールレンズが採用されていないことが挙げられます。
丸形テールレンズを廃止したことで、リアゲートの開口部を広げることができ、荷物の出し入れが快適になっています。
インテリアも元来のスカイラインとは異なる専用デザインで、センターパネルは本木目パネルが採用されていたり滑らかなラインがポイントの高級感のある内装です。
走りの面では大排気量の3.7リッターV型6気筒エンジンにより、最高出力330ps・最大トルク361Nmを発揮しました。
SUVなのでもちろん悪路を走行できるよう最低地上高は165mmが確保されています。
このスカイラインクロスオーバーについて、「そんなクルマがあること自体知らなかった」と思われるユーザーもいるかもしれません。
それもそのはず、このスカイラインクロスオーバーは1代限りで販売を終了してしまったのです。
その理由としては、当時ほどまだSUVが流行っておらず、売れ行きが伸び悩んだことが考えられます。
もし、今スカイラインクロスオーバーを販売すると、また当時とは違った反響があるかもしれません。
しかし“スカイラインクロスオーバーの系譜”は完全に消滅したわけではなく、北米では日産のプレミアムブランドであるインフィニティから「QX50」として展開されています。
このQX50がスカイラインクロスオーバーとどういう繋がりがあるのかというと、2007年に発売開始された「EX」というモデルが途中で改名されQX50へとなり、このEXこそが日本で販売されていたスカイラインクロスオーバーにあたります。
そのためQX50は実質的なスカイラインクロスオーバーの後継モデルといえるでしょう。
ボディサイズは全長×全幅×全高が4732mm×1902mm×1620mmで、スカイラインクロスオーバーより大型化され、トヨタ「ハリアー」(全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm)に近いサイズ感へと進化しています。
また、ほぼ同サイズでQX50によりクーペらしいルーフラインを取り入れた「QX55」も北米でラインナップされています。
※ ※ ※
クルマといえばとりあえずセダンを選択することが多かった時代は過去のものとなり、セダンで脚光を浴びていた車種が今後生き残るのが厳しくなっているのは否めないでしょう。
ただ時代に合わせて新たなボディタイプで展開していくことで、末永くモデルは守られ続けて、再び日の目を浴びることもあるかもしれません。