横浜市と逗子市を直結する都市計画道路「横浜逗子線」の整備が進められています。完成すればどう便利になるのでしょうか。また整備はどこまで進んでいるのでしょうか。
■横浜市と逗子市をつなぐ道路
三浦半島の付け根は山岳地帯となっていて、横浜市と逗子市のあいだはまともな一般道路がほとんど無く、交通網として分断状態になっています。
それを解消するため、都市計画道路「横浜逗子線」の整備が進められています。完成すればどう便利になるのでしょうか。また整備はどこまで進んでいるのでしょうか。
横浜逗子線のルートは、上大岡駅からまっすぐ南下して金沢区内へ達し、六浦で逗子市内へ入るものです。
港南区~金沢区は半世紀前から開通済みですが、そこから逗子市内へ抜けていく部分が、まだまだ未開通です。詳しくは以下のとおり。
【開通済み】笹下釜利谷道路(上大岡~金沢文庫)
1975年に開通。国道16号に対する「第2ルート」として、混雑緩和に寄与。アップダウンの激しい金沢区内にあって、念願の南北軸となりました。
1999年に能見台の「二本松トンネル」の2本目が開通し、環状3号(栗木)~国道16号(金沢文庫)で4車線化が完了しています。
【開通済み】釜利谷工区
金沢文庫の手前で笹下釜利谷道路から南へ分岐して、いよいよ六浦・逗子方面へ向かおうとする区間のうち、340mの区間が、2001年に開通済みです。
立派な4車線道路ですが、そうてつローゼンの先で急に狭くなり、住宅地へ吸収されている状況です。
【工事中】釜利谷六浦工区
さらに1400m南へ延伸し、山を抜けて、環状4号(県道23号)に直結するものです。六浦や金沢八景エリアにとっては、やはり未だに国道16号に頼らざるを得ず、大渋滞に悩まされている現状。そこへ悲願の「バイパスルート」が誕生することとなります。
八景台を越える区間は、4車線道路が「上下2車線×2ルート」に分かれ、台地上の地上部と、山を貫くトンネル部の「垂直2層構造」となります。地域住民は地上部を通行し、通過交通はトンネルで交差点ゼロで抜けていくというわけです。
気になる進捗ですが、用地取得率は2017年から「84%」で横ばいの状況です。いっぽうで工事は着実に進行中で、両側からトンネルへ向かう地上道路の形が姿を現しています。トンネルも2025年度にいよいよ工事着手の予定となっています。
【未事業化】六浦~逗子市境
環状4号から先は、現状ほぼ唯一となる逗子市街直結の「県道205号 金沢逗子線」のバイパスとして、ほぼ並行して整備される予定です。
まだ事業化に至っておらず、横浜市議会でもまだ「どうなっているのか」という話さえ上がっていません。市外へまたぐ工区という事情もあり、ひとまずは「釜利谷六浦工区」の完成が見えて、やっと機運が高まっていくこととなりそうです。
とはいえ先行き不透明なわけではなく、横浜市は2016年に策定した「優先整備路線」のなかで、六浦駅付近までを「2020年度ごろまでに事業着手すべき路線」、そこから市境へも「2025年度ごろまでに~」としています。
【未事業化】逗子市内
逗子市側では、いまの県道「金沢逗子線」を拡幅する計画として、市の都市計画「池子桜山新宿線」に位置付けられています。完成すれば、中心街南部の森戸海岸付近で国道134号へ直結し、横浜市内からスムーズに葉山方面へ抜けられるようになります。
しかし、事業主体の神奈川県にとって、優先順位は高くありません。2025年度までの県内の優先整備方針を示した「改定・かながわのみちづくり計画」にはリストアップされず、「将来に向けて検討が必要な道路」にも選ばれていません。
県議会でも特に言及はなく、整備機運は高くないのが実情です。